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第60話
凛乎とした見た目に反して、この義弟はひと皮むけば色情狂 なのだ、男に口で奉仕することが根っから好きなのだ。
──そう思わせる情景に、尾骶骨のあたりがじんと痺れた。
罪悪感の最後のひと欠けらが、消し飛んだ。わたしは猛りを一旦、強引に抜き取った。乳首をひと撫ですることで、怨ずる眼差しを向けてくる天音をなだめる。
そのうえで互いの秘部が互いの口許に位置するように体 を入れ替えると、天音は今更めいて羞じらったふうに茎に掌をかぶせた。
そのくせ力ずくで手を引きはがせば、蜜がねっとりと糸を引く。逃げぎみになる腰を引き戻し、指で掬った雫を蕾に塗りたくってやれば、天音は再びずりあがる。
「あれだけ大胆に誘っておいて今さらケチるのは、卑怯じゃないか」
「蒸し返して意地悪ですね……ん……お返しです」
ちゅっ、と先端に唇が触れた。それで唇をくすぐって促せば、喜び勇んでむしゃぶりついてくる。幹の輪郭を舌で丹念になぞり、それでいて、ぴたりと足を閉じて後ろへの淫技を拒む。
この性悪め、まだ何かよからぬことを企んでいるのか。目いっぱい足を開かせた。尻たぶを割り広げて秘処を観察しやすい形に持っていき、谷間を覗きこむ。
自分が同性相手に興奮する性質 だとは、夢想だにしなかった。実際に後孔を見れば萎えるかもしれないと内心、危惧していた。
しかし陽根はむしろそそり立つ。なぜなら蕾は物欲しげにひくついて、その美味さ加減を想像させる。しかも襞の蕩けぐあいをためつすがめつする間も、穂先で気まぐれに舌が閃く。
今度は躊躇しなかった。舐めて湿らせた指でぐるりを撫で回すと、花びらがしどけなくめくれていく。
指を二本まとめてこじ入れた。少々、荒っぽくかき混ぜる。指を食いしめにかかる内壁を退けて、それに狙いを定めて例のボタンを爪繰ると、すらりとした肢体がもの狂おしげにバウンドした。
「ぁ、あっ、だめ……っ! まだ、イキたくない」
わたしは咄嗟に茎の根元を指で締めつけた。吐精を封じられた天音は四肢を突っ張り、はたはたと頭を打ち振った。
それは、わたし自身も憶えがあることだが、奔流が逆巻くと下腹部の重だるさに悩まされる。
天音もまた逐情を迎えそこねて苦痛を味わっているはずだが、ひたむきに雄身をねぶりつづける。
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