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第63話

 雷鳴が轟いた。すると連鎖的に内壁がきゅうきゅうと収縮して、幹全体にじゃれつく。 「締めすぎだ……食いちぎる気か……」 「いちいち、うるさい人ですね……ん、能書きはいいから動いてくださ……い、ん、ふぅ……っ!」  茎はおろか和毛までぬるぬるにしているくせに、まだ減らず口をたたく余裕があるのか。  細腰をひきずりあげつつ、片足をソファの座面に載せた。秘花がななめ上を向き、必然的に交わりが深まった。その体勢でほとんど引き抜き、花芯がすぼむ瞬間を狙って一気に刺し貫く。 「……ひっ、……あ、あぅ、あぁ……っ!」  ぱたぱた、と座面に雫が散った。先端のくびれを握りしめ、指の腹で鈴口に栓をしておいて、楔を武器に深みを攻め抜く。穂先で執拗に中枢を嬲り、苦痛と背中合わせの愉楽の渦に天音を叩き込む。 「うっ、あ……晶彦さぁ……っ!」  内壁がうねる。わたしを貪欲に食いしめて、熱くぬめる。最高だ、彼我の境目がアヤフヤになるようなこの情交に較べれば、これまで、これがセックスと思っていたセックスなど児戯に等しい。  尻たぶを割り広げて、最奥に攻め入る。熱情のおもむくままに腰をグラインドすれば、ソファがずれて眼鏡もずり落ちる。汗がしたたってレンズが曇るが、瑣事にかまっている暇はない。一秒ごとにまろみを増していく媚肉を貪るのに忙しい。 「突いて……! 奥、奥……突いて……っ!」  淫乱、と故意に囁いてやると内奥にさざ波が走る。突き上げと後退のリズムを刻みながら、ずくずくと攻め込むと、奥へ奥へといざなわれて淫らな摩擦が加えられる。  濃やかにあやされて、屹立がふやけてしまいそうだ。わたしは前にのめった。耳の下にかじりついて、天音を抱いた痕跡を肌に刻みつける。  襟足にも満遍なくそうすると茎が跳ね踊って……、 「だめ……あぁ、ああっ……あっ、イク……っ!」  刹那、脊梁が弓なりに反った。直後、淫液がしぶいた。  襞が、ふしだらに蠢く。内、それ自体が意思を持ったように、くびれをしごく。得も言われぬ刺激を受けて、わたしは陥落した。最後にスウィートスポットをもうひと突きすると、深奥で欲望を解き放った。 「ぁあ、はぁ、あ、ああ、……奥、奥に熱いのがかかってる……」 「ああ、天音のここに、ぜんぶ搾り取られる……」    顎に手を添えて、こちらを向かせる。唇をついばみ合った。  普段はいちど射精()せば満足するほうだが、つながりを解くのが惜しまれる気がする。第一、天音のそこは物足りなげに雄にしなだれる。  未練がましく内をかき混ぜているうちに、陽根が再びみなぎってきた。狭間をまさぐると、いたぶられるにやぶさかじゃないといいたげに、秘花も華やぐ。 「ふふ、元気ですね……差しつかえなければ、もう一度、いかがです?」  異論はない、あるはずがない。狂風が哮り立つなか、わたしは天音に……禁忌に彩られた情事に溺れた。

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