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「はい、ついた」 「ありがとうございます」  気づけば先生が言ってたスーパーに到着し、スムーズに停車をして車のエンジンは切れた。  あ、やけに振動が伝わらないなとか思ったけど単純に先生の運転が上手いんだ。  お母さんはスピード狂だから乗ってて恐怖を感じるけど、先生は適度なスピードで全く不快にならない。  助手席から降り、ドアを慎重に閉める。  改めて見るとツヤツヤだし、洗車とかもちゃんとやってるんだなあという印象。    なんか、先生はガサツだと思っていたから結構意外かもしれない。   「このスーパーは特に野菜が安いんだよ。さすがに 野菜は食えるだろ?」 「はい。あんまり好き嫌いないので」 「お、偉いな」  出入口に近いところに停めてくれたからすぐに店内に入る。  冷房が効きすぎたこの空間が、スーパーに来たなあという感覚になる。  制服姿でスーパーにいると少しだけ目立つこともあるけど、ここは駅の近くのスーパーだからかサラリーマンも割といて、目立つことがない。  そもそも先生といるだけで目立ちそうだけど……まあそこは平気か。 「うーん、やっぱりおまえといるといつもより目立つな。多少視線を感じる」 「それを言うんなら俺だって」 「だよな。おまえが制服だからっていうのもあるかもしれないけど、おまえは顔が整いすぎてる。もう怖ぇよ」 「それはさすがに言いすぎですって」  絶対俺が制服を着ているからだと思う。  ネクタイをつけているとまずいかな、と思って車内に置いてきたりはしたけど、それでも制服らしさは拭えない。  俺の身長は盛って175だから小さくはないと思うけど、先生の隣だとさすがに小さく見える。  うーん、これ以上背が伸びる兆しもないしな…… 「それは置いといて、普段はなにを買うんだ? 作り置きするんだったら、買えるものも限られてくるだろ」 「そうですね……正直、料理が得意ってわけじゃないからほとんど同じやつばっか作ってます。あまり味に頓着しないからお腹がいっぱいになればいいやって感じで」 「本当に食い盛りの高校生かよ。んー、何品か作り置きできる料理教えてやろうか? こう見えて料理はそこそこ得意だから」 「え、意外」  先生もエプロンとかつけて料理すんのかな……  と、フリルがたくさんついた白いエプロンをつけて料理をする先生の姿を勝手に想像してしまった。  やばい、想像したらかなり面白い。 「ふ、ふひっ」 「え、なんだその気持ち悪い笑い方」 「なんでもないです、んふっ、はふっ」

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