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「いやぁ〜まさかそんなこと言ってくれるとは思わなかったわ。ここ最近で一番テンション上がるわ」    るんるーんと言いながら先生は車の中に入っていった。  俺も先生を追って車の中に入り、荷物を足元に置かせてもらう。     「で、どうする? このままおまえんち行く?」 「すっかりそのつもりだったんですけど……他になにか?」  冷凍食材とかは買っていないから今すぐに帰らないといけないわけではないけれど、これ以上先生の手を煩わせるのは申し訳ないと思ったからそう言った。  すると先生はハンドルに腕を乗せ、そのまま俺のことを流し目で見てくる。  その意味深な視線に、どうしてか柄もなく反応してしまった。  だから、急に大人っぽさを出さないでほしい。 「おまえがよかったらだけど、俺の家来る?」 「は?」  え、今なんて? 「いや、ちょっと先生の家行くとなにがあるかわかんなくて怖いから嫌です」 「あー実はさ、俺もまあまあ作り置きとかしてるんだけど結構余ってるんだよ。育ち盛りのおまえにおすそ分けできればなーなんて思ってるんだけど」    にっこりと先生が微笑んだ。  魅力的な提案すぎて、俺はつい断ろうとしていたのに口を閉じてしまった。  なんとなく、先生から食材のこととか作り置きの話を聞いていて料理ができるひとなんだなというのは伝わってきた。  だから、先生が作ったものは基本的に美味しいんだと思う。食べてみたいとも思う。    でもな、と渋っていると先生が決定的なことを言ってきた。 「なんなら作り方とか教えてやるけど?」 「ぐっ……」 「お?」 「い、」 「い?」 「行きます……」 「よし」  そんなこと言われたら行くしかないだろ。  最早断ることが申し訳ない。うん。きっとこういうのを正当化と言うのだろう。  俺の返事を聞いてから先生はすぐにエンジンをかけ、車を発進させた。  きっとここまでの流れ全てが先生の思い通りなんだろうけど、それにまんまとはまる俺も俺だ。  そもそも先生に迷惑がかかるんじゃないかとかそういう風に思うこと自体が間違ってるだろ。だってこのひとだぞ。迷惑なんていくらでもかけてよさそうだ。 「一人暮らしってことは弁当とかも自分で作ってるってことか?」 「まあ、はい」 「寝坊したときどうすんの。そのときは購買とか?」 「実は俺寝坊したことないんですよ。朝だけは強くて。なので今のところは頑張ってお弁当作ってます」  俺がそう言うと、常に眠そうな顔をしている先生は「えーすげえ」とやけに感心した様子で言った。  俺の場合は朝が強い、というよりは寝ることに対してそこまで執着していないと言う方が正しいかもしれない。  なんなら三日間くらいは寝なくても平気だし、どんなに疲れていても1時間程度寝ればある程度の疲れを取れる。  ……なにも睡眠を必要としていないわけではない。あることをきっかけに、こうなっただけであって。 「逆に先生は朝とか弱そうですね」 「俺はめちゃくちゃ弱いよ。なんたって人間の三大欲求だからな、惜しまないぞ」 「……はあ」 「性欲とかなー、あとは性欲もあるし性欲かな」  三大欲求って言葉が出てきた時点で流石に察した。

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