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 そりゃ優馬が不貞腐れるのもしょうがないか、と思う。  優馬は本当に律のことが大好きで、独占欲ってほどじゃないけどなんでも律について知りたがる。  俺はそれが微笑ましくてしょうがなくて、優馬も律も可愛いなあ、なんて男子には似つかわないことを常々思っている。 「……でも、あのふたりが並んでると引く程絵になるな」 「それは本当に思う」  改めて、ふたりを遠くから見つめる。なんの会話をしているのか声は聞き取れないけれど、その様子を見るだけで映画の撮影を遠巻きから眺めているような気分になる。  先生がイケメンすぎるのは勿論、律も顔が整い過ぎている。  風が吹くと柔らかく靡く黒い艶のある髪に、大きな目。その目の周りは長い睫毛が飾揺れていて、綺麗に二重の線が入っている。小ぶりな鼻は筋が通っていて、くちびるもいつ見ても桜色で、顔もとても小さい。  本当に、本当に整っている顔をしているから怒れば迫力は十分すぎるくらいあるし、笑った顔はめちゃくちゃ可愛い。ぼうっとしている顔は見ているだけで時々見惚れそうになる。  そんな律のことをイケメンと言うひともいれば可愛いと言うひともいて、綺麗だと言うひともいる。  顔があれだけ整っているから真顔でも一切怖く見えないため、大体のひとは柔和な性格を想像するだろうけれど、その中身は手に触れたら痛くなるくらい冷めている。らしい。  だからきっと、他の奴らは律のことを冷たいって言うのだろう。  けれどそんなことは全くなくて、確かに少し冷めてるなと思うことはあるけれどそこらの人間よりは断然優しい心の持ち主だ。  律のことを無理に理解しようとする奴も中にはいる。けれど、律をわかっているのはごく僅かでいい。  (────……ただ俺は、時々律のことがわからなくなる。) 「はー、認めたくないけどばっしーめちゃくちゃイケメンだわ。ありえねー、なんであんなイケメンなんだよ、ずるいだろあんなの」 「はは。優馬もかっこいいよ」 「うわ、爽介に言われたくねー」  本当なのにな、と思いながら優馬がアイスを齧る横顔を見る。    優馬は正統派イケメンというよりかは、顔の彫りが少し深いからハーフのように見える。髪が茶色いせいもあってか、少しちゃらくも感じるけれど間違いなくイケメンだと思う。  ただ、納得はしていないようだ。 「俺の周りおかしいって。顔面どうなってんだよ」 「それ律も言ってたなあ」 「あいつが一番やべえだろ。俺、律なら抱ける自信あるわ」  いやいや……とは思いつつも、ほんの少しだけ同意できる。いや、この場合友人としては同意したらいけないのか?

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