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「じゃあ普段はそんなに学校にいるわけじゃないってことですか」 「そう。今日は将希……先生の仕事の付き添いみたいなもん」 「ふぅん……?」  俺が入ったときに見た感じだと近藤先生は机の上に尻を乗せてたから全く仕事をしているようには見えなかったんだけどな。休憩中だったとか?  いや、でも近藤先生のものと思われるパソコンは一切見当たらない。  なんだろう、本当にタイミングが丁度よかっただけだったのかな。 「仕事っつってももう終わってるんだけどな。さっきは喋ってただけだよ」 「あ、終わってたんですね。俺てっきり話しに来てただけかと」 「違う違う」  先生がにこやかに否定した。  近藤先生と麻橋先生は仲が良いと言われているらしいけど本当のようだ。  そうじゃないと麻橋先生の場所と言っても過言ではない数学準備室でわざわざ話さないだろうし。  俺が知らない麻橋先生を近藤先生は知っているのかな。 「そういえば、最近部活頑張ってるみたいだな」 「え? まあ……はい」 「松木先生から聞いた。みんなよく頑張ってるけど、特におまえは最近の頑張りがよくわかるって。マネージャーとのコミュニケーションも前に比べたら円滑だってさ」 「……」  そんなとこまで話してんのかよあの先生。  先生の顔をちらりと見てみると、なにやらニヤニヤと少し下品な笑みを浮かべている。 「な、なんですか」 「俺が女子とも少しは話せって言ったからか?」 「元からマネージャーには優しく接してましたよ。最近は荷物を運ぶのを手伝うようになっただけで」  去年は練習がキツすぎて自分のことで精一杯だったけれど、今年は少し体力的にも余裕ができてきたのでマネージャーが運んでいる荷物を運ぶのを手伝ったり、大変そうな仕事は俺も加勢したりしている。それだけだ。  ただ、俺が手伝うようになってから他のプレイヤーたちも積極的に手伝っている気がする。  特に1年が。  2年は動かない奴は本当に動かないけれど、それでも優しい奴らの方が多いからよく手伝っているのを見かける。    だからか、マネージャーの子たちも最近は生き生きしているように見える。  楽しんでやってくれているなら何よりだと思う。 「さすが俺の生徒だな」  やけに優しい目で、わっしゃわっしゃと頭を撫でられた。  部活終わりでシャワーも浴びたとはいえ、汗をかいた頭を触られるのはさすがに抵抗がある。  避けようとすると、全く意味がないと言われているかのように麻橋先生とは反対側の肩をぐっと掴まれて引き寄せられた。 「逃げんなって。悲しいな」 「違います……汗かいたから、ちょっと」 「気にしねえよ」 「俺が気にします!」

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