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 瞼の向こう側に、急に白い眩しい光を感じた。  同時に鎖骨の下あたりにチリッとした痛みも感じる。  その、沈んでいた意識を優しく引き上げられるような感覚に従うまま目をゆっくりと開けてみると、入ってきたのは目を少しだけ開けた先生の顔。  俺よりも少し先に起きたのか、まだ意識は完全に浮上してはなさそうだ。  夏とはいえ寒いくらいに冷房が効いているから密着したまま眠っても暑さを感じることはなく、寧ろ空気は冷たいのに布団の中だけ温かい感覚がどこか気持ちいい。  どうやら、先生に抱きついたまま眠ってしまったらしく、証拠に俺の脚が先生に絡まったままだった。  それを外すと、先生にゆっくりと微笑んだ。 「……情熱的」 「……うっさい……」  明らかに揶揄が含まれたその言葉を、俺はなんとかして聞き流そうとした。  けれど、あまりにも部屋が明るすぎるというか、遮光カーテンのはずなのに光を部屋に取り込んでいるような気がして違和感を感じた。  いつもは、こんな明るい中起きない。 「先生、今何時……?」    ふああ、と欠伸をしながらそう聞くと、先生は手元にあったスマホを開いて時刻を確認し、俺に言う。 「9時半」 「……えっ……!」  9時半。くじはん。  普段なら休日だとしても起きてなにかしらをしている時刻なのに、それどころかまだ眠いだなんて。    普段はどんなに遅くても7時に目が覚めるというのに。朝には、強いはずなのに。  寝た時間も、遅いわけではないはずだ。先生と共にベッドに向かったのは9時過ぎで、10時くらいに意識を手放したはずだ。  つまり、12時間程度眠りについていたというわけで。  久しぶりのこの感覚に、どこか懐かしさを覚えた。  こんな時間に起きるなんて、久しぶり……    眠気を抑えきれず、もう一度大きく欠伸をする。それを見かねた先生がどこか眠たげな表情でふっと笑い、俺の視界を手で遮った。 「へ……?」 「二度寝しよっか」 「えっ」  二度寝なんて、それこそ全くすることなんてないのに……  そうやって心の中では言いつつも、視界を遮られたことによって視界は暗くなり、また睡魔が襲ってくる。  これもまた、久しぶりすぎる感覚。  ああ、俺……自分で思ってるよりずっと、先生の傍は安心してしまってるんだな……  自ら手放そうとして遠くなる意識の中、俺はどこか穏やかな気持ちでそう思った。  ……鎖骨についた先生の熱の証に気づくのは、もう少し後のこと。

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