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そのままずるずると引きずられるようにして駅のホームを歩き(かなり抵抗したけど全くダメだった)、とうとう親戚との待ち合わせ場所に到着してしまった。
どれだけ嫌だったとしてもそのときは来てしまうからどうしようもない。が、さすがに嫌なものはどう頑張っても嫌だ。
「久しぶり、律くん爽介くん!」
「こんにちわ……」
「わぁ、律くんだぁぁ!」
俺が苦手とするおばさん1と、子ども三人……三人!?
車に乗れる最大人数分連れてきたのか。なんてことだ……
正直俺は、子どもがあまり好きではない。
そういう俺も10年前は子どもだっただろとは思うけど、子ども自体が苦手なのではなく子どものぐいぐいくるところが苦手。
どう扱えばいいのかわからないし、普段通り接したら接したでやたらと絡んでくるし、俺よりも爽介の方が圧倒的に子どもに優しいのに何故か俺に懐いてくる。
そんな子どもが、三人も……
俺があまりの衝撃の事実に狼狽えていると、俺よりかは子ども好きな爽介が一歩前に出てしゃがみ、子どもたちの目線に合わせて柔らかい笑みを浮かべていた。
「久しぶりだね、皆元気にしてた?」
「うん、げんきだよー!!」
「爽介くんはー!?」
「俺も元気だよ」
「やっぱり王子さまみたいー!!」
男の子ふたりと女の子ひとり。
ありがたいことに今は三人とも爽介の周りをぐるぐると回っているけれど、そうなると。
「律くん、会わない内に随分かっこよくなったのねえ。男前になっちゃって」
「いえ、あはは……」
まあ、こうなるよな。
もちろん親戚全員が悪いひとな訳ではない。中には優しくていいひともいるし、お小遣いをくれるひとだっている。
ただ、それを凌駕するほどにタチが悪いひとは本当にタチが悪い。
まだこのおばさんはいい方だ。いや、それでも苦手だけど。
「皆待ってるわよ。ほら、早く行きましょう」
おばさんがそう言うと、子どもたちはぐいぐいと俺と爽介の手を引っ張った。
キャリーケースを持ってきているのが見えないのか、両手をぐいぐいと引っ張られた。
いくら部活の筋トレで体幹を鍛えているとは言えど、想定していない力の働きにはすぐに対応できず、危うく倒れそうになってしまった。
「ごめんね、荷物持たないといけないから離してもらっても大丈夫?」
「えーやだやだー! はなしたくないー!」
「……」
……こういう時はどうするのが正解なんですか……
「律、俺持ってくから気にすんな」
「え、でも……」
「大丈夫」
爽介はもうひとりの子と一緒に俺のキャリーケースを運んでくれている。なんて優しいんだ本当に、ちくしょう。
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