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「もし、その三人がクラス発表のステージに立った時を想像してみろ、皆の者」 「……っ」 「……会場が、歓声で揺れるぞ」  ……なに真面目な顔してすっげえ馬鹿なこと言ってるんだよ……  俺があまりにも呆れた顔をしているからか、吉水が小さな声で「ひぃっ」と言い、咳払いをした。  睨んでいるわけじゃないんだから怯える必要ないんだけど。 「と、とにかく。俺はこの三人を使うなんて言ったら言い方が悪いけれど……どうにかしてクラス発表最優秀賞をとりたい……! そう、思わないかー!!」 「おおーっ!!」  ……    言葉が出ねえ……  どうなってるんだこのクラス……  まあ別にクラスのためなら協力したって構わないし、注目を浴びるのが嫌というわけではないけれど。  ここはひとつ、どうか俺の株上げをしたいと思う。  なにも言わずに控えめに手を上げると、それだけでクラスの視線が俺に集まって静かになる。  これは俺の容姿のせいだったり、普段の立ち振る舞いのせいなのかもしれない。  ある程度全員の注目が俺に集まったところで、口を開くことにしよう。 「そんなこと言わなくても、ここには可愛い子がたくさんいるんだから」 「……」 「ね」  嘘半分、本心半分。  別に思ってないことではないだからいいだろう、と思ってそう言った途端、教室が女子の悲鳴? 歓声? でいっぱいになった。  周りの男子も、別に男に向けた言葉ではないのに何故か顔を赤らめて女子みたいな悲鳴を上げていた。  この顔は、なんて便利なんだろう。 「律、ナイス」 「うす」  後ろから伸びてきた爽介の握り拳に、俺の握り拳をこつんと合わせる。  敢えてクラスのために協力することに対して否定せず、周りを過剰に持ち上げることによって俺たちが出る幕は当初予定されてたよりもぐっと減るだろう。  結果、生徒たちの前に出ないといけないことには変わりないだろうし、目立つことには目立ってしまうんだろうけど、恥をかくことは恐らくない。  目立ちたがりの優馬と違い、できれば静かに生活したいという俺と爽介。1対2だ。悪いな、優馬。  今にも鼻血を出してしまいそうな勢いで顔を赤くする吉水から視線を外し、座ったままの先生と目を合わせる。 『性格わっる』  口だけでそう言われているのがわかり、ふふんと口を歪めた。  この顔は俺のものなのだから、俺が使いたいように利用して何が悪いんだか。 「……律、ブラックな律出てる」 「あ、つい」

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