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 俺の言葉があったからか、俺と優馬と爽介を最初から最後まで出そうと提案されることはなく、本当に大事なときに投入しようという話になった。  そう、それでいい。  大事な駒は正念場にとっておいてこそなんぼってもんだ。  結局、俺たちがクラス発表でなんの演劇をやるのかと言うと。 「眠れる森の美女のパロディー……か」  配られたプリントを見て、俺と爽介は成程、と少なからず感心する。  眠れる森の美女に出てくるのは、オーロラ姫、三匹の妖精、オーロラ姫に呪いをかけてしまうマレフィセント、そして眠りに落ちたオーロラ姫をキスで救うフィリップ王子。  これはあくまでデフォルトの物語であり、俺たちB組が行うのはそのパロディー。  オーロラ姫が眠りに落ちてしまうというストーリーは原作通りだが、どうやらオーロラ姫を救うための候補の王子が三人いて、その中にひとりだけ本物がいるが、他のふたりはオーロラ姫に怨念がある王子。  三匹の妖精が本物の王子を見極めてオーロラ姫が目覚めてめでたしめでたし、というお話らしい。  誰でも思いつきそうな内容なものの、中々突飛があって面白い。  それで、三人の王子様を俺と優馬と爽介にやらせようと、そういうことか。 「実は元々オーロラ姫は椎名くんに女装でもしてもらおっかなーって思ってたんだけど……」 「……は……?」 「じょっ、冗談ですっ、このクラスには、かっ、かか、っ可愛い女の子がたくさんいるもんねっっ」 「うん」  俺に女装させようなんて、よくそんな発想ができるもんだなぁ……? との意を込めて不気味な笑顔を浮かべておくと勝手に怯んでくれた。よし。 「台本は、演劇部の子が既に作ってくれたから、今から回します。仕事早すぎて俺がびっくりしたよ」  前の奴から台本が回されてきたので、それを受け取って爽介に渡す。  ぴら、と捲ると最初はアニメーションから始まるらしく、マレフィセントがオーロラ姫に16歳の誕生日日没までに糸車で指を刺して死ぬという呪いがかけられるところまでアニメーションにするらしい。  どうやらアニメーションは自作のものを流すらしく、ここまでくるとクラスメイトの本気が伝わってくる。  ここまで本気になれるのはある意味尊敬するけれど……面白そうだな。思っていたよりも。 「じゃあ次はオーロラ姫役を決めようと思うんだけど……匿名投票にしようか。台本と一緒に小さい紙が回されたと思うから、そこにオーロラ姫役として一番適任だと思う女の子を書いてね。女の子! 女の子だからね! 男の名前を書いた奴は許さないから!!」    俺がじろっと見つめた(睨んだ)だけで、女の子という言葉を強調してくれた。彼はいいひとだ。ふふ。

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