143 / 148
7-8
俺はどういう風に映っているんだろう、と気になって優馬が撮った写真を見せてもらった。
なんというか……コスプレしてる感が強い。
見慣れないというのもあるかもしれないけど、そもそも俺の身長的に合わないんじゃないか。
3人の中で1番背が高いのは優馬だけど、爽介はスタイルがいいから背が高く見える。俺は細身だからなんとかそれで補えてはいるけれど、いざこの3人で並んだ時にどうなるのかが問題な気もする。
「いやー、律は細いからこういうの似合うね」
「……似合ってる? なんか、変な気がするんだけど」
「まじで実在してそう。やっべー、めっちゃいい」
ちゃらちゃらと服の装飾を触りながら優馬が言った。優馬はお世辞とか言わない奴だから本心なのかもしれないけど……
これで全校生徒の前に出るのか。
めちゃくちゃ恥ずかしいな、これ。
俺、大丈夫か?
とりあえず服は脱ぐことにして、衣装係の子に預ける。着慣れたジャージはやっぱり安心するかも。
優馬と爽介も試着を終え(死ぬ程似合ってた)、次は読み合わせというよりは立ち回りの確認。
先生と一緒に確認するらしく、吉水と先生が並んで台本を見て何やら話し合っていた。
俺は一番最初に候補に上がる王子だから、ステージでの動きの確認は思っていたよりも細かかった。
まず最初に眠っているオーロラ姫に近づいてセリフを言い、妖精に催促されて小道具の丸太の椅子に座らされる、みたいな感じで。
「まー基本的にナレーションとかが入るし、椎名くんは割と肩の力抜いてもらって大丈夫だよ」
「うん」
「緊張しすぎてもいいものにならないからねー。こう、威厳を解き放って! 俺を見ろー! って」
「……はあ」
え、どういうこと?
俺の次に爽介が登場し、最後に優馬が登場する。
三人の王子は丸太に座らされ、妖精と座談会のようなもので誰がオーロラ姫にキスをするのに相応しいか選ぶらしい。
ここも俺はセリフは少ないし、基本的に妖精役に任せればいいとのこと。
ただ……妖精役が全員男子で本番は女装するということだけが不安要素ではあるけれど。
どんだけ女装させたいんだ。
まあ下手に女子を使うよりかはユーモアがある男子にした方が面白いということなんだろう。そういうことにしておこう。
「いいか、妖精役の者共。ステージの上では、男ではない、妖精になるんだ。声を高くして、動きもオーバーにしろ。おまえらは特に、ほぼずっとステージの上にいるんだからな」
「はいっ!」
「もっと高い声で!」
「はぁいっ!!」
なにこれ。
ともだちにシェアしよう!