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 そのまま台本を持ったままの読み合わせが始まり、ナレーションは吉水がやることが決定した。放送委員らしいし、まあ適任か。  なんというか……思っていたよりも大変ではなさそうだ。最初は絶対無理とか思ってたけど、案外悪くはないかも。  すると、ずっと静かに見守っていた先生に吉水が絡み始めた。 「ねー先生は出てくんないの? 出たら盛り上がると思うんだけど」 「馬鹿か、俺が出たら会場揺れるどころか飛ぶぞ」 「たしかにぃ。先生かっこいいもんねー」 「お。もっと言え言え」    頭がぶっ飛んでる者どうしの会話って、成り立ってるのか成り立っていないのかよくわからない……    そこから、爽介と白岡さんの絡みのシーンまで確認して、演劇班は終了となった。  すると丁度クラス発表班の数人がやってきて、試作品だというクレープを持ってきていた。 「一応作ってみたけど、コスパ結構いいかも。安上がりだけどクレープって人気だし」 「おー、すげ! 売り物みたい」  演劇班の人数分あるらしく、俺のところにまでクレープが回ってきた。  試しに食べてみると、めちゃくちゃ美味しいというわけではないものの学生が作ったにしてはかなり上出来な味がする。  俺が食べたのはチョコバナナのクレープらしく、チョコレートソースやらバナナやらが入っていた。    これで味にいくつか種類があれば割と人気店にはなる気がする…… 「先生、どうー?」  先生にも渡されたらしく、先生がクレープを食べていた。俺と同じチョコバナナのものを食べていて、なにか考え込むような顔をしていた。 「ん、悪くはない。が、具材が少ないかもな」 「具材?」 「板チョコを入れてもいいと思うぞ。あと、バナナ多い。コスパ考えるんならもっと減らしても十分だ。あと、チョコ系のクレープは種類増やせ。キャラメルとか、フルーツ系もあったら尚いいな」 「えっ、めっちゃ参考になる……!」  おお、普段ちゃんと料理しているだけあってめちゃくちゃまともな意見言ってる。  たしかにチョコバナナとチョコソースだけでは物足りなさかあったかもしれない。学生の文化祭ならいいかもしれないけど、少しでも繁盛するにはもっと良い要素を増やしたほうがいいもんな。  クレープを持ってきた子がメモを取り、先生以外にも他の種類のクレープを食べた子がアドバイスをしていた。  ……うわあ、このなんとも言えない光景、すごい学生してるって感じがする…… 「ちょっと律ー、生クリーム口についてるよー?」 「優馬、お前自分の口にもべったりつけてなにやってんの」 「……優馬の口にもついてるよ♡とかやってもらいたいじゃん!」 「何言ってんの?」  隣ではしゃいでいる優馬とそれを宥めている爽介のことには触れないでおこう……

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