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第一章・11
「んぁ、あ! うぅ……、ふ、ぅん……」
うっとりと眼を閉じ、白穂は希の精を手で遊んだ。
胸に、腹に、まんべんなく伸ばし、彼の香りを全身に沁み込ませた。
そしてそのまま、満足げな顔をして意識を失った。
「白穂。白穂?」
「……」
安らかな顔をして、すうすう息をしているところをみると、危険な状態ではないようだ。
「でも、このままにしておくわけにはいかないな」
希は、手早く後始末を始めた。
ティッシュで白穂の体を拭き、制服を着せる。
汚れた布は、丸めてゴミ袋へ入れる。
そして、ぐっすり寝入っている白穂を抱えると、保健室へ運んだ。
「こんなに世話の焼ける子だとは、思わなかったよ」
ベッドに寝かせた白穂に、希は優しい笑顔を向けた。
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