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第二章・2

 そんな白穂に、希はどこまでも優しかった。 「いいんだよ、沖 白穂くん。君の初めてになれたこと、僕は嬉しく思ってるんだから」 「……結城くん、どうして僕の名前を知ってるの?」 「君だって、僕の名前知ってるじゃないか」  クラスは違うのにね。  そう言って、希はまた微笑んだ。 「毎日昼休みに窓辺でスケッチしてる人は、僕にとって興味の対象だよ」 「し、知ってたの……?」  白穂は、顔から火が出るようだった。 「熱心に、何を描いていたんだい?」 「え、えっと」  この上、スケッチブックを見せたらどうなるか。  まるでストーカーのような自分を、結城くんは軽蔑するかもしれない!

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