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第二章・6

「うぁ……、うッ!?」 「どうしたの」 「はな、鼻血、出てきちゃった!」  大変だ、と希はハンカチで白穂の鼻を覆ってくれた。  鼻血をぬぐいながら、希は一つだけ条件を出してきた。 「モデルにはなるけど、僕を呼ぶときは『希』って呼んでくれないかな」 「え、いいの?」 「僕も、君のことは『白穂』と呼ぶよ」  急接近した二人の仲に、白穂は夢見心地だった。 (僕、こんなに幸せでいいのかな……)  ハンカチを白穂に手渡し、希は薬品棚から小箱を取り出した。 「それからこれ、飲んで。発情抑制剤だよ」 「勝手に飲んで、怒られないかな」 「保健の先生は今、留守だから仕方がないよ。それに」  それに? 「僕以外の人間に、発情しちゃダメだよ」 「結城くん……!」 「希、って呼んでよ」 「ありがとう、希」  にっこり微笑む希が、白穂には天使に見えた。

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