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第二章・10
「僕、キャラメル・ラテにするよ。希は?」
「白穂と同じものがいいな」
カフェの席に着き、二人はドリンクを飲みながら絵について語り合った。
「今カンバスに描いてる絵、コンクールに出してもいい?」
「いいよ。日展?」
「話が大きすぎるよ! 市民展!」
「君なら、日展でもいけると思うけどな」
そのうち日展にも応募したいな、と白穂は小さく言った。
「美大に進学して、院生になって。プロデビューできたらいいだろうな」
「素敵じゃないか。未来を見られるって、素晴らしいことだと思うよ」
僕は白穂をずっと応援してるよ、と希は返してくれた。
「希に言ってもらえると、やる気が湧いてくるよ」
「その意気だよ」
希が差し出してきた手を、白穂は握った。
誓いの、握手だった。
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