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第三章・2
「レトルトのカレーで、ごめんね」
「肉、マシマシで入れてくれてるじゃないか。サラダまで作ってくれて、僕はこれで満足だよ」
白穂には、母親がいない。
だが、それをあえて話題にしない希の優しさに、白穂は救われていた。
夕食を摂った後、創作を再開することもあった。
気が付けば、もう21時、なんてこともざらだ。
それでも希は、優しく笑った。
「大丈夫。僕の母、単身赴任だから」
希に父はいない、とのことは、その時知った。
二人とも片親。
そこに白穂は、運命めいたものを感じていた。
(もしかして、神様が引き合わせてくれたのかもしれない)
そんな生活が、二人の日常になっていた。
そして……。
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