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第三章・8
「白穂。もしよかったら、ピルを飲んでくれないかな」
「ピル? 何、それ」
「避妊効果のある薬だよ」
「へぇ。でも、どうして?」
そこで初めて、希は頬を染めて白穂から眼を逸らした。
「どうしてかな。解らない?」
「えっと……、あ!」
もしかして。
もしかして、希は僕の内に……!
「あの。僕も、希にそうしてもらえたら嬉しいよ」
「そう言ってくれると思ったよ」
希は、白穂の手を握った。
中出ししたい、なんて下劣な言葉を使わないところが、希らしい。
そして、遠回しにしか言えない彼の幼さに、白穂は笑顔になった。
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