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第三章・9
「服用し始めて、約一週間で効果が表れるから。お小遣いが足りないなら、僕も出すよ」
「別にいいよ。僕の体の問題だから」
そうはいかない、と希は逸らしていた目を再び白穂に向けた。
「君の体は、もう君一人のものじゃない」
「ありがとう。でも、そのセリフって……」
まるで、赤ちゃんができた時の言葉みたい。
「え? あ、その。うん。いや、白穂が望むなら……」
「僕、まだ赤ちゃんは望んでないよ」
「そ、それもそうだね。うん」
ちょっぴり慌てた希を、白穂は笑った。
つられて、希も声を立てて笑った。
(でも、いつか希との間に赤ちゃんが生まれたら、いいな)
それは、Ωに生まれた少年のセンチメンタルだ、とは百も承知の白穂だった。
だが、そう思わずにはいられないほど、希への愛情は深まっていた。
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