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第四章 特別な夜
「できた……。完成だ!」
「おめでとう、白穂」
ありがとう、と白穂はむせた。
思わず、涙ぐんでいたのだ。
「泣くほど頑張ったんだね。すごいよ、君は」
「希こそ、ずっとモデルに付き合ってくれて、ありがとう」
いつもの白穂なら、彩色はほぼ写真に頼るところだ。
だが、希を描くにあたっては、ていねいに進めたかった。
心まで塗り込めるように、絵具を重ねていったのだ。
「市民展、何か賞が獲れるといいね」
「この絵はもう、賞とか超越してるよ。考えてないよ」
僕の渾身の傑作だ、と白穂は胸を張った。
「コンクールに出して、評価されるのも嫌になってきちゃったな」
「じゃあ僕が、この作品に賞をあげるよ。特別賞を」
「ありがとう!」
二人で、固い握手をした。
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