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第四章・10

「白穂、転校のこと黙っててごめん。でも、話したら君の創作に対するモチベーションが下がると思って」 「うん……」 「単身赴任してる母さんが、ちょっと辛そうなんだ。付き合ってた男性と、別れたらしくて」 「ん……」 「今は、僕が彼女を支えてやらなきゃならない。解ってくれる?」 「……」  白穂が絵を描き上げると、母の元へ行こうと決めていた希。  それを知ると、ひどく悲しくなった。 「絵が完成しなければ、よかったのに。そしたら、希とずっと一緒にいられたのに」 「そんなこと、言わないで。よかったら、見送りに来てよ」  希が電車で発つ日時を教えてもらい、白穂は通話を切った。 「う……うぅ。っく、うぅ。うぁああ……」  そして、泣いた。

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