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第六章 希望の光
「久しぶりだね、希。突然電話して、ごめん。ちょっと、報告したいことがあるんだ」
これを、白穂は10回練習した。
久々に、希と会話するのだ。
しかも、爆弾を抱えて。
「僕、赤ちゃんができたんだ」
これは、20回練習した。
希の反応が、怖かった。
彼のことだ、祝福してくれるだろう。
しかし、万が一のことを考えると心が冷えた。
『それ、本当に僕の子かな?』
『赤ちゃんは望まないよ。堕ろしてよ』
こんなことを言われたらどうしよう、と恐怖した。
「いろいろ考えても仕方ない!」
白穂は、思いきってスマホを手にした。
ところが、その途端に着信音が鳴ったのだ。
発信は……、希だ。
「希!?」
白穂はうろたえながら、電話に出た。
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