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第七章 プロポーズ
電車が到着し、希はホームに降り立った。
久々の景色だ。
そこには、懐かしい白穂の姿が……、なかった。
代わりに、彼の父がいた。
「お疲れ様、結城くん」
「白穂くんの、お父さん」
「すまないね、白穂のわがまま聞いてくれて」
「いえ。それで、白穂くんは?」
自宅で待たせてある、と父親は言った。
(どうしたんだろう)
希は、不審に思った。
白穂の性格からして、必ず出迎えに来てくれると思っていたのに。
「駐車場に、車を止めてあるんだ。行こう」
「はい。よろしくお願いします」
わずかな手荷物を抱え、希は父の後に続いた。
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