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第七章・4

「あ。今、赤ちゃん動いたよ」 「白穂、お腹を触ってもいいかい?」 『……』 「僕には何も感じないなぁ」 「今、大人しくなっちゃったから」 「ようやく現れたパパに、怒ってるのかな」 「そんなこと、ないよ」  白穂は、希を膝枕した。 「こうしてしばらく、お腹に触れていて」 「うん……。あ、ホントだ。今、動いた」  二人で、幸せな時間を過ごした。  しかし、やがて希は頭を上げると、引き締まった顔つきで白穂を見た。

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