64 / 76

第七章・5

「白穂、改めて君のお父さんに、話したいことがあるんだ」 「え? いまさら、何を?」 「君を妊娠させた以上、けじめはつけないとね」 「僕は、希が喜んでくれただけで、充分なんだけどな」  それでも希は、白穂と共に階段を下りて、父のいるリビングへと向かった。  父親はソファにどっしりと構え、まるで希がやって来ることを知っていたかのようだった。  その対面に希は座り、白穂はその隣に腰かけた。 「お父さん、沖くんを妊娠させたのは、この僕です。大切な息子さんを身重にしてしまったこと、このとおりお詫びします」  深々と頭を下げる、希。  父は、心配そうな白穂を見て、言った。 「通っていた高校は、自主退学させられたよ。白穂の未来が、閉ざされたんだ。結城くん、この責任はどう取るつもりなんだい?」

ともだちにシェアしよう!