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第七章・6
希は、頭を上げた。
その眼差しを見て、白穂は鳥肌が立った。
こんなに凛々しい希の表情は、今まで見たことが無い。
一生忘れることのできない、シーンだった。
「白穂くんと、結婚させてください!」
「希!?」
「必ず、幸せにします。だから、お願いします。結婚を、許してください!」
そう言ってくれると思ったよ。
父は心の中でうなずいていたが、それは表に出さずに突き放した。
「君はまだ、17歳の高校生だ。どうやって、親子3人食べていくつもりだ? 家庭を築くということは、おままごとじゃないんだぞ?」
ぐっ、と言葉に詰まったかのように見えた希だったが、再び決心したように語った。
「起業するのは大学生になってから、と考えていましたが、こうなった以上は今すぐにビジネスを始めます」
「何?」
そこで希は、白穂を見た。
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