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46 好きな子とキスをした。
「あっ……んっ」
枕を抱っこし続けてる。じゃないとまた声が溢れちゃうから。
「んんっ」
あんなに自分の指は無理だったのに、好きな人の指は気持ち良くて声が溢れる。二本目だってちゃんと入っちゃうし、それに。
「あ、あっ、啓太の手っ」
「? 俺の手?」
「やっぱ、おっきい」
だって、男子高校生ですから。平々凡々でも、それなりに男子なので。
「想像してた、から、その、する時」
「……」
「啓太の手だったらって」
「……」
「あっ、ン、うなじのキス、ぁっ」
啓太の手でしてもらったら、俺よりでっかい手だから、違うのかな。指、長くて、かっこいいんだけど、あの手で握ってもらっちゃったら、なんか申し訳ないかな。でも、啓太にされたら――って、想像してた。
「あ、あ、あっ……ン」
「俺も、想像してた」
「俺、で?」
「してたよ。だって」
俺でちょっとエッチなこととか想像してた? 俺、ヘンテコじゃなかった? って言うか、その想像の中の俺より今の、本物の俺って変じゃない? ヘンテコだったりしない?
「好きだから」
今の俺、ヘンテコな顔したかも?
だって、胸のとこ、音がした。きゅぅぅぅぅんって変な音がして、そんで、すでに汗が滲むくらいに熱いのに、もっと熱くなったから。どっかおかしいのかもしんない。きっとおかしいんだ。胸から異音がしちゃうくらい。
啓太のくれる「好き」って単語一つにふわふわになりすぎてしまう。
「あ、ン……あ、ひゃあっ……あ、あ」
一生懸命に枕にしがみついてた。指が行き来する度に気持ち良くて、指に擦られたそこがジンジンして、痛いんじゃなくて、なんていうか、その、えっと。
「あっ、あっ!」
切ない、って感じた瞬間、腰が勝手に跳ねた。背中が反って、声が溢れて、零れて、そんで、身体がトロリととろけた。とろけたのに熱くて、肌の感覚がやたらと敏感で、中がギュって啓太の指を締め付けた。
「あ、あっ」
「多分、ここ、って」
「あ、ひゃ、あっ」
気持ちいい場所があるんだって。
神様、すごくない?
「そこ、啓太っ」
「っ」
ちゃんとさ、ちょっとだけ用意してくれてたんだ。男同士でも、ちゃんと気持ち良くエッチができる場所を。そこを探って見つけられたら、ちゃんとできるんだって。
「気持ち、ぃ……よ」
気持ち良く、セックスできるとこを身体の中に用意しといてくれたんだ。
「啓太っ」
ほわほわでトロトロに気持ち良くなれる場所。二人で。
「ン」
啓太が指を抜いて、そんで、ゴムをつけてた。
「柘玖志」
「ん」
「痛かったら」
「平気、だよ」
ドキドキはしてるけど。
「は、やく」
ちっとも怖くなかった。
「あっ……っ」
枕をギュって抱き締めながら。
「はぁ……っ」
啓太のが入ってくるのを待ってた。ゆっくり、最初の準備の時の指と同じに、ゆっくり入ってきてくれる。でも指よりもずっと太くて、硬くて。
「あ、あ、あっ……」
「っ」
啓太の、熱い。
「あっ……啓太っ」
すごい。
「柘玖、志」
気持ちいい。
「あ、ン……ん、ン」
ゆっくり貫かれて、引かれて、貫かれて、揺らされると声が出ちゃうくらいに。
「柘玖志」
「啓、太、気持ち、ぃ」
啓太は? 俺、ちゃんと啓太のこと。
「柘玖志」
頭のてっぺんにキスをされて、深いとこに入ってくる。ヘンテコな甘い声は困るくらいに溢れるのに、ちゃんと喋ることはできなくて、啓太って名前を呼ぶくらいしかできない。でも、ここが繋がってるからなのか、ちゃんとわかってくれて、気持ちいいって耳元でこっそりと教えてくれた。
それを聞いたら、ほら、また中がギュってして。もっと深くに啓太のが来て。繋がってく。
「ンっ……ぁ、くぅ……ン」
繋がってるからわかっちゃうんだ。いったん繋がってるのをやめて、そんで向かい合わせになった。ね? ほら、俺も今、そうしたかったって、気持ちも繋がってるから伝わる。
「柘玖志の顔、見たい」
俺も、啓太の顔見てしたい。
「柘玖志」
枕も啓太の匂いがして気持ちイイんだけど、啓太のことをさ抱き締めたいんだ。
「あ、あぁんっ」
ギュって抱き締めながら、声が溢れそうだと啓太がキスをくれた。
「ン、ん、ンく……ん、んっ」
舌を絡ませ合いながら、奥をクンって貫かれて、啓太がまた声を飲み込んでくれる。何度も何度も、貫かれて、ずり上がってくのを啓太の逞しい首にしがみついて。
「啓太っ」
「俺、さっき、さ」
こっそりと耳元で打ち明けられた。
「こうしてられるだけでもすげぇ嬉しいって言ったけど」
「……」
「でも」
「や、だよ」
「……」
「俺、啓太としたかったもん」
テスト後のご褒美を勘違いしてたけどさ。でも、したかったよ。すごく。
「柘玖志」
お互いにあんま喋れなかった。
初めてで、そんでずっとずっと想像してた好きな子との初めにもう頭ん中がいっぱいいっぱいで。
「あ、啓太っ、んっ、あっ、そこっ」
俺の中が啓太でいっぱいで。
「ギュって、してて、声っ」
声が出ちゃうから、啓太の腕の中にしがみついてた。
「んんんっ」
神様がこそっと用意してくれてた、ちゃんと気持ち良くなれるとこを擦られて、溢れてしまう甘い声を止めようと、しがみついてる。
「啓太っ、も、俺っ」
いっぱいすぎてさ。
「ん、ン……ん、んっ、ぁ、もっ」
溢れそう。気持ちいい声も、好きも、なんもかんも。
「あっ……」
溢れて零れて、そんで、溢れそうになる好きを二人でしがみつき合いながら、抱き合いながら、溢さないようにキスをした。
好きな子と、キスをした。
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