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57 めちゃくちゃ可愛いの
ドキドキする。
ベッドに押し倒された瞬間、心臓破裂しそうなくらいにドキドキした。今はそのまま唇、頬、額ってあっちこっちにキスされて、熱くて熱くて。
「……ン、あっ」
首筋にキスをされて、つい溢れた声に慌てて、唇をキュッて真一文字に結んだ。
「いいよ……声、今日は」
「え、でもっ……」
「あと、今日は、ごめん」
「?」
二人で啓太のベッドに腰掛けて、そんで唇以外にもキスをしてる最中だった。
「あれ、本当にあるんだな」
「?」
「オオカミ君でさ、主人公が男子のカーディガン借りたとこ見て、男子がすげぇ真っ赤になってた」
あ、はい、ありますよ。そんなシーン、あれは五巻の後半のところに。
「すげえドキドキする、俺の服着てる柘玖志」
「へ?」
あのシーンではオオカミ君が「バーカ、もっと太れよって思っただけだ」なんて照れ隠しに言ってたけど、本当は華奢な主人公にめちゃくちゃときめ……。
「えっ?」
「だから、ごめん」
「えぇ?」
「ちょっと、柘玖志不足だし、親いないから」
えっと、俺不足って鉄分みたいになってますけど。えっと、それにそういうセリフもどこかで聞いたことがありそうなんですけど。それから、お母さんたちがいないと一体全体。
「できるだけ無理させないようにセーブするけど」
セーブしなかったら、さ、一体全体、どうなっちゃうんだろう、なんて思ったんだ。好奇心ってやつもあるけど。
「啓太」
手を伸ばして、啓太のことを引き寄せた。
「セーブなんてしないでいいよ」
「……」
「俺も、啓太不足だもん」
ずっと会いたかったのは俺もなんですけどーって思ったから。
「あっ……」
お恥ずかしいです。ってくらいに、もうキスだけで硬くなってたそこを啓太の手に握られて、キュって、身体が飛び上がる。
「んっ、ン」
キスで開かされた唇に舌が入ってきて、柔らかく撫でられて、ドキドキした。
「はぁっ、啓太っ」
初めての時はちょっとどうなっちゃうんだろうって不安だったり、緊張だったり、なんかもう、わけわかめだったのに。
「あっ……ン」
まだ一回しかしてないのに。
「気持ちい……」
とろり、って、なんかお腹のとこが熱くなる。初めての時、啓太がしてくれたことを全部思い出して、またして欲しいって、中が熱くてたまらなくて。
気持ちいい、しかないよ。不安も緊張も、わけわかめもない。
「あっン」
気持ちも身体もふわふわした。だから啓太の掌に合わせて、腰が揺れる。ゆらゆら揺れながら、甘い、ヘンテコな声が止まらないんだ。
「なんか、今日の柘玖志」
「?」
「すげ、可愛い」
「なっ! そんなわけっあっ」
押し倒されて、ダボダボのTシャツを捲られて、貧弱な身体にもキスをくれた。胸のとこ。
「あっン……ン、ぁ、そこっ、ひゃっ、あっ」
乳首を口に含まれて、舌に舐めてもらうと、ゾクゾクってしちゃうんだ。そんで、とろりと、お腹のところが熱くなる。
「く、ぅ……ン」
食べられちゃいそうなくらい、口の中に含まれたまま、舐めて吸われて、敏感になった乳首。それを齧られるのがさ、硬く尖った歯でカリカリってされるとたまならなくて、鼻にかかった甘い声が溢れた。
「ほら、やっぱ、すげぇ可愛い」
「ンっ……んん」
そんなことないってば、なんて遠慮する言葉も言えないくらい、乳首を食べてた唇に今度は唇も食べられて、濡れちゃった乳首は啓太の指に摘まれた。
「ン、あっ、んんんっ」
長くて、俺のより少しゴツゴツした指に扱かれながら。
「あっ……啓、太っ」
乳首も指でピンって弾かれると、すごく気持ち良くて。
「あぁっ……、あっ、あっ」
その乳首をまた口で喰まれて、また濡らされて、舌先に押し付けれられると自分で自覚できちゃうくらいに硬くなってく。乳首がさ、コリコリってして、それをまた舌で転がすようにされて。
「はぁっ……ン、フッ……あ」
お腹、熱い。すごい奥のとこ。
「あっ!」
「柘玖志」
「あ、の、ごめん、指、その」
触れてくれた、けど、すごい硬いでしょ?
「触ってない、から、大変かも、前は、その、準備してた、から」
「……」
「今は、してなくて、あ、違うから、その、啓太とまたするのがヤとかじゃなくて、その」
「その?」
そんな覗き込まないでよ。
「その、つまり、思い出して、触って欲しくなる、から」
「……」
「けど、啓太は遠いし、頑張って欲しいって思ってる、し」
だから、会いたいとか、触って欲しいとか、いや、触って欲しいはきっと口が避けても言えないけど、でも、思っちゃって悶々するから、気を紛らわせてた。もう新しい漫画とか読みまくって、そんで、悶々を解消……のはずがもっと会いたくなったりも、した。
「やばい……柘玖志」
「ぁ……ぇ?」
「めちゃくちゃ可愛い」
「そ、あっ、あぁぁぁあっ!」
また可愛いって褒められて謙遜したかったのに、また言えなかった。
「や、啓太っ、恥ずかしっ」
だって、啓太の口に今度はさ、そこ、食べられちゃいそうだったから。
「あっ……ン」
声、溢れちゃうってば。変な、鼻にかかった甘い声。
「あ、ひゃあ……ア、ん、あっ」
口に含まれて気持ち良くて、自然と揺れて身体がくねる。
「あっ!」
そして、とろりと熱くなった身体の中に啓太の指が難なく入ってきた。
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