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啓太視点 ハッピークリスマス編 6 変わらず、いつもどおり
―― 俺と、してくれんの?
そう尋ねた時、君が真っ赤になりながらコクンと頷いてくれたのをよく覚えてる。
初めての夜、互いのすれ違いっぷりに、二人で真っ赤になってさ。
道端でさ、ぎゅっとお泊りセットを詰め込んだリュックを抱きしめてた君の手を、俺は必死になって掴んでた。
ゆっくりでいい。男同士だし、柘玖志も俺もまだガキだし、ゆっくりで、なんて思っておきながら、君の勘違いを知って俺は大慌てで、「そっちでお願いします」って君の勘違いを直させまいとさ、必死で。
ゆっくりでいいなんて思ってたくせに、前のめりでさ。
―― 俺も、啓太と、したい……です。
そう柘玖志に言われた時、ホント、大袈裟じゃなく天井突き抜けて、星空まで飛んで行けそうな気がした。あの瞬間、外走ってこいって言われたら、どこまででも走り抜けられそうな。
二人ともなんもかんも不慣れで、ローションだって初めてで、あの時、柘玖志が色々調べててくれたのが嬉しかった。俺とするためにって準備してくれようとしてたって知って、やばいくらいに、嬉しくてたまらなかった。
心臓が破裂するかもって、あの時思ったんだ。
ずっと探してた君と。
「啓太?」
ずっと好きだった君と、なんて――。
「やっぱ、疲れてるよな。あの、あれもあるっしょ。時差ボケだっけ? 俺、なったことないけど」
「違うよ」
ふと初めての時のことを思い出してた俺を、疲れてその気がないんだと勘違いした君がベッドから起き上がろうとした。それを阻止するべく、覆い被さってキスをする。
深くて、濃厚なやつ。
初めての時もすれ違ってた。好きだと告白し合った時もすれ違ってた。
「んっ……ン、っ」
だから、急いで伝えないと。
俺たちはすぐに勘違いをしたり、すれ違うから。そうならないように、ちゃんと。
「久しぶりだからか、初めての時のことを思い出してた」
「初めてって、ぇ、あ、その」
「初めて柘玖志を抱いた時のこと」
「抱っ!」
真っ赤になる君がとても可愛くて、昔から好きだった。
「な、なんでそんな大昔のこと思い出すんだよお」
「そんな大昔でもないだろ。五年前とかじゃん」
「大昔だよ。は! も、もしかして、俺がもうピチピチじゃないからっ」
「ピチピチって……」
一挙手一投足、全部丸ごと常に可愛くて、困ることがよくあったっけ。
「どーせもうあんなにピチピチじゃないですよーだ」
「だから、ピチピチって」
すぐに勘違いするとこも、いつも一生懸命なとこも、それから、基本、恥ずかしがり屋なとこも、全部、愛おしくてたまらなかったっけ。
「その言い方がそもそも、ピチピチしてない気がする」
「んなっ! そ、そんなことはっ」
今も変わらず、愛おしい。
「大昔を思い出しだのは、そうじゃなくて」
「じゃあなんだよ」
「ただ今も変わらず」
「……」
次の言葉を待ちながらじっと俺を見つめる君が。
「好きだなぁって思っただけ」
「あ……ン」
柘玖志の甘い声。
「中、狭い。あんま一人でしなかった?」
「や、もっ、そんなこと聞くなよっ、あぁぁぁぁっ!」
「だって」
柘玖志の中が指でも狭いくらい。その中を掻き分けて、あまり無理せずに、時間をかけてゆっくりと柔らかくなるようにと指で柘玖志の好きなところを撫でていく。
「あぁっ……ン」
ここを押すと柘玖志の声が気持ち良さそうに蕩ける。
「あっンっ!」
ここを撫でると、たまらなくなったと切なげな声を上げる。
「あっ……ぁっ……そこっ」
ここも柘玖志の好きなとこ。浅い、孔の口のところを小刻みに撫でると、中がキュンキュン締め付けてくれる。
「あぁ、あっあ、あ、あ、あ、ン」
そして、感じて、くねる背中に歯を立てて、キスをした。
「ンっ」
敏感な君は背中を小さく噛むだけでもピクンと跳ねて反応する。そして――。
「あ……もう……啓太、の」
欲しいって、言ってくれる。
「きょ、ぅ、久しぶりだから、そのままがい……」
「……」
「啓太の、中に欲し、あっ」
変わらず俺を困らせるのが上手なんだ。
遠征で君に触れられずにいた俺をそうやって煽って、困らす。
「ぁ、あああああああああっ、あっ、ン……」
「柘玖志……」
「あ、挿れただけで、俺っ」
白を飛ばして、真っ赤になる君の奥を抉じ開けるように腰を押し付けながら、深く口付けた。舌同士が絡まり合う濃厚な口付け。
「あ、ンっ……啓太の、熱いっ、溶けちゃいそっ」
「中、トロトロ」
「だって、ン、ぁ、早く会いたかった、早く、啓太とっ、ン、あっ……ン、そこ、ダメっ」
君の好きなところを小刻みに擦って。
「やぁ……ンン」
ピアノ教室で先生をしているから、キスマークをつける位置に気をつけないと。子ども達には刺激が強すぎるから。でも付けるんだ。
「あぁぁっン、あ、啓太ぁ」
君は俺のっていう印。
「あ、あ、あ、あ、そこ、気持ちい」
ここも君の好きなとこ。
全部知ってる。
全部わかってる。
大昔も、今も、これっぽっちも変わらず君のことがとても好きで。
「あっ、啓太っ」
大昔よりもずっと君のことを、愛してる。
「ン、啓太っ」
そう耳元で囁くと、いつも通り、君の中が俺をぎゅうぅぅうって締め付けてくれた。
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