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カクレンボ2
目が点になっている悠悟と、対照的に。スイは目をきらっきらさせていた。
「よーっし、では、先にそなたが鬼をやってくれ。いいか、10数えるんじゃぞ」
「えっ...。ちょ、あの」
「始め!」 「...ええ...」
スイは尻尾をゆらして、シュタタタタッと森の中へ駆けて行ってしまった。
「まじ、か...。」
悠悟は鳥居の前に、一人取り残された。
ゆっくり数えてくれよ〜というスイの声は、もうかなり遠い。
「い、1...、2...、3...、」
仕方ないので数え始めるも、やはり腑に落ちない。どうして自分は妖狐とかくれんぼをしているんだ。
(見つけられなかったら、殺される、とかかな。ああ、多分そうだ)
それ以外に思いつかない。いや、だがしかし。どうにもあの妖狐、人殺しをしそうには思えない。
(普通に若かったし...なんなら高校生が耳カチューシャつけてますって言われてもおかしくねーくらい。つか、本当に妖狐なんかな...。目が緑なのはカラコンか?
...あ!もしかして、これドッキリじゃね?自分にしか見えない妖怪がいたら、信じる?信じない?みたいな)
いつかテレビで観たのを思い出して、ようやく納得がいった。きっとこれはテレビの企画で、俺はそう、間抜けなターゲット。まさか、自分がこれをやられる側になるとはな。母さんに、テレビ出るって連絡入れとかねえと。
「9、10。よし、探すか」
そうと分かればさっきまでの不安はすっかり晴れて。まあ騙されてやるか、と、ズンズン歩き出す。
早く見つけて、「TBAのモリタリングです」を言ってもらわなければ。そしてさっさと大学に行こう。本来なら、この時間は講義を受けている予定だったのだ。まだ入って1年だが、コマは取れる内にとっておきたい。
「さー、どこだ...。ここか?うお、子猫。可愛い」
背の高い草や木が多くて、どこにいるのか検討も付かない。でも、自然に囲まれた神社を歩くのは、なかなか楽しかった。普段の都会の喧騒から一変、穏やかな空気。最高じゃないか。
サア...と、優しい風が通る。
(あんまし来たことなかったけど、この神社落ち着くなあ)
柚香とのデートスポットレギュラーに入れようと、一人決意した悠悟であった。
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