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祭りに行きたい
その後もスイと悠悟は互いの事を話して盛り上がった。なかでも、スイは悠悟の大学生活についてを聞きたがった。
「キャンパスライフはマジでイイっすよ」
「きゃんぱすらいふか...。いいな、いいな。わしも大学に行きたい」
「そうですね。今度学祭あるんで来ますか?」
「なんじゃそれ」
「お祭りですよ。美味いものがいっぱいあって...。あ、軽音サークルがライブするって言ってたなあ」
「美味いもの...」
スイの目がキラキラ光った。頰をふにゃりとさせ、口が緩んでいる。
「行きたい!悠悟と祭り、する!」
ギュンッと視線を悠悟の隣に向ける。
「なーっ、ええじゃろ、京ら「ダメだ」......」
深い群青に睨まれる。そして、神は悠悟に視えないのをいいことに、畳に寝っ転がった。今日の賽銭を数え始めている。当然、スイの尻尾の毛は逆立った。
「なんでじゃ!ドケチ!京蘭様はいっつも遊園地巡りしとるくせに!!」
ピシャーン。青ざめる京蘭(レア)。
「っ......!お前、なぜそれを...!?」
「ふんっ、わしの目は騙せんよ。大体、出雲様の会合が週一なこと自体おかしい。もっとマシな嘘を考えたらどうなんじゃ!?」
「ぐっ...!わ、私にだって娯楽は必要なんだよ。ディズニーもユニバもタダになるのだし、利用しない手は無い」
開き直る神様。
「でずにーとゆにばに謝ってきい!人間に視えんのをいい事にお金を払わんなんて...。ドケチ!ケチ神!」
「口を慎みなさい弱小狐」
「なんじゃと!?」
バチバチと 2人の間に火花が散る。言い合いの最中、悠悟の顔面は七変化していた。
(無銭豪遊する神様…。ディズニーとユニバで無銭豪遊する神、様...)
神のイメージがガラガラ崩れていく。
「悠悟、祭りはいつじゃ?」
「え、えっと...。10月の初め、だったかと...」
「分かった。では、その日までに賽銭箱に千円寄付してくれ」
そこで、京蘭の耳が動いた。
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