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第5話 社の中はね...

ガラッ。障子を開けて、「ここは書斎じゃ」とスイが胸を張った。 「っやべ...。ここの本、もしかして全部京蘭様のですか...!?」 6畳半の和室は、本で埋め尽くされていた。書き物をするための机が端に置かれているが、その上も紙切れでいっぱいだ。床にも巻物が散らばっている。 「そうじゃ。あの人は決して賽銭の事しか考えとらん訳じゃないぞ?本も大好きなんじゃ!」 「マジかあ...。わ、すげえ。仮名文字読めない。これガチの書物じゃん」 パラパラ本をめくると、独特の匂いがした。陽に当たって茶色くなっている。 「ああ、悠悟。そおっと触ってくれ。京蘭様に、ここには入るなとしょっちゅう言われとるからな。くくくっ、バレたらそなたも道連れじゃ」 はかまの袖を口元にやって、笑いを堪える。 「ヤバいじゃないですか!じゃ、もう出ましょ。京蘭様起きちゃうかもですし...」 そっと本を元の位置に戻して、悠悟はそそくさと部屋を出た。そのあとにスイも続く。 部屋の主は、現在他の部屋でお昼寝中。普段は決して人間が社に入る事は許さないため、この隙にとスイが悠悟を連れ込んだのだ。 つまりは探検中。外から見ると小さなこの神社は、一度入ればスイでさえよく迷う広さだ。 「ええっと、ここは何の部屋だったかな。ああ...緑の間か。悠悟、ここも凄いんじゃぞ。わしのお気に入りなんじゃ!」 ピョンっとひとはねして、入ってゆく。「緑の間」と呼ばれたそこに足を踏み入れたとたん、悠悟の口角は自然と上がっていた。頭がほんわりして、心臓の辺りが暖かい。

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