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雪虫 落ち穂拾い的な 35p

「あ、あの、大神さん、どうしましょう  」  タブレットを見ていたセキが顔を真っ赤にして大神に助けを求める。何事かと大神が駆け寄るも、何も言わずに真っ赤な顔で泣きそうだ。 「どうした?」  直江から連絡がないと言うことは、大事は起こっていないと言うことで、大神は特に慌てる様子もない。 「    始めちゃってるんですけど……」  学習しない奴だな  とごちて、煙草を咥える。  以前に監視カメラをつけてあると教えてあっただろうにと、面倒そうに頭を掻いた。 「構わん。放っておけ」  注意してそれでもそこで始めると言うことは、そう言う性癖なのだろうと解釈して、大神は煙草に火をつける。キツい煙の臭いが漂って、紫煙がセキの方に流れて纏わりついた。  パタンとタブレットを置いて、セキの視線がチラリと大神に移る。 「あの、大神さん」 「なんだ」 「  俺だって、ヒートに関係なくムラムラすることだってあるんですよ」  ぼと と大神の煙草の灰が落ちた。 「は  入んないかもなんですけど」  発情期のΩの体はどこもかしこも柔らかくなる。  もちろんそれは受け入れやすくなるために体が変化するわけだが。 「入れて、出すだけがセックスじゃなかろうが」 「 そ ですけど、大神さんの、  口にも入りきらないじゃないですか 」  そこまで真っ赤になって恥じらうならば、言わなければいいのにと大神は思わない。  ぐずぐずになってAVのような言葉を喋るセキもいいが、恥じらうのはそれはそれでいい。 「方法はいくらだってあるだろう?」  そう言う大神はやけに機嫌が良さそうだった。 END.

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