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花はいっぱい 10
手の中のクッキーの箱と、オレと、時計を見比べて……
「 ギリギリまで部屋にいていい?」
そう往生際悪く言う。
でも、それは突っぱねられないと分かっての行動なんだろうな。
オレは結局、喜蝶を甘やかしてしまうんだけど。
ベッドに横になった瞬間に喜蝶の匂いが肺に入った。
何事かと飛び起きてみるも、窓はしっかり締まっているから、またそこから忍び込んできた なんてことはない。
「あ、そっか」
夕方ここで寝てたんだ。
枕に顔を埋めて息を吸い込むと、喜蝶の匂いがする。モソモソと布団の中に潜ってみれば、ふわりとそれが体を包み込んできた。
慣れ親しんだ、けれど第二次性徴前とは明らかに違う牡の匂い。
きゅっと胸が切なくなると同時に、下半身の痺れに膝を擦り合わせた。
喜蝶の、匂い、
荒っぽい、男の匂い、
体がわなないて、反射的に尻に力を入れた瞬間、ぐにゅりと下着の中が濡れた。それは明らかな発情の現れで、喜蝶が残していったこの匂いに体が反応しているんだってわかる。
は は と荒い息を吐き、汗と震えでうまく動かない手でパジャマのズボンを下着ごと引き摺り下ろした。
「 ぅあっ」
つぃ と伸びて、ぷつん と糸が切れる。
緩く立ち上がったソコより更に奥、ソコから垂れる粘液が、暗い部屋の中の小さな明かりを拾って光って見えた。
銀の、細い粘りを指に絡めて、そっと窪みに這わせてみる。
他より少し柔らかくて、引っ張られているような皮膚、そして今まで怖くて触ることが出来なかったその奥に向けて、指先を動かした。
「っ はい、ちゃ 」
ひくりと意識以外で動き、沿わせた指の腹を引き込もうと蠢くソコはオレ自身じゃないようで……
怖くなって手を離した。
「 も、なんで、喜蝶は よりにもよって 今日ここで寝るかなっ」
こんなに匂いをつけられると、βとは言えΩ因子持ってるんだから、反応しちゃうのに!もうちょっと考えて欲しかった……
下半身から駆け上がってくる欲望をどうすることもできずに、ぎゅうっと目を閉じて深呼吸をしてみたけれど、結果は残されていた匂いを吸い込むだけで、オレが大変になっただけだった。
「ぁ、は ぁあんっ ぅ 」
前を両手で包み込んで、もう先走りでびちゃびちゃの立ち上がりを優しく扱き出す。
いい匂いだけれど…
こんな匂いだけ残されても……
オレは困るだけだ!
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