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教えて!先生っ 12

「お父さんは調香系の仕事をしてるんで……ただ、今は海外に行ってるから  」 「あと、僕達じゃ役に立てないので他当たってください!では、失礼します」  小さな子が下から睨みつけるって萌えるよなー……なんて呑気なことを思ったりもしたけれど、まぁこの反応が当然だ。  フェロモンの匂いを嗅いで なんて性的なことを生徒に…………って、完全に通報案件だっ! 「ああああああの!ちょっと口止めをっ!」 「大丈夫ですよーちゃんと分かってる子達だから」  ヘラヘラと笑われると、相談相手を間違えていたんじゃないかなぁ と一抹の不安が頭を擡げてきて。 「ホントは六華たちについてくる、アルファが目当てだったんですけどね、逃げられちゃったみたいですねぇ」  お役に立てず申し訳ありません としょんぼり肩を落とす姿は、「まかして!」と言った手前、どうにもならなかったことを恥じているようだった。 「  職員はほとんどベータですし」  つかたる市は市の職員に積極的にβを採用している、そのせいだ。  αもいるが、校長や教頭だったりするから事件の内容を知られたくない! 「生徒の中には多いですけどね……」  また詰んだなぁと思いながら窓の方へ視線を遣ると、そろそろ秋らしく葉の勢いの治まった木が揺れているのが見えた。  Ωの妊娠期間は7か月で、そうなるとこの木に桜の花が咲き始める頃が予定日だ。  生まれる日には綺麗に咲いていればいいなぁ と自然と思った所で、いやいやいや、まだ妊娠してるわけでもないしっ!と理性が割り込んでくれた。  やばいやばいっまだ出来てるとは限らないのに! 「  百面相してるけど、だいじょーぶ?」 「へっ?」  覗いていた窓からひょこっと頭が二つ飛び出して、思わず「わっ」と叫んで飛び上がった。  後ろによろめいて、空き教室の黒板に頭がごつんとぶつかってしまい、呻いてその場に蹲る。  そんなオレを追いかけるように、窓から二人の影がひょいっと軽い動作で窓を飛び越えて中へと入ってきた。 「烏丸せーんせ、大丈夫ー?」 「何してるのー?」  バースハラスメントしてましたーなんてことは言えなくて、ごにょごにょと「いやちょっと」「問題とかじゃなくて」と口の中で言い訳を繰り返す。 「虎徹せんせー!ちぃーす」 「こんにちはって、ちゃんと言おうよぉ」  「めっ」とたしなめられて、二人は「こんちゃーっす」と言う挨拶に変えた。  同じ顔が、二つ。  二年の学年にいる二組の双子の内のもう一方、鷲見兄弟だ。担当科目の古典をとってなかったから下の名前はうろ覚えだったけれど、珍しい双子のαで有名だった。

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