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青い正しい夢を見る 14
「 くっそ くそっ」
「や ぁ、っ やめて お願いっ ぃ 」
生木を裂くような鈍い感覚とそれを追いかけて訪れる痛みに、視界が明滅する。
逃げようと腕を突っぱねるのに男の体はびくともしなくて、逆に更に力を込めて押さえつけられて骨が軋む音がした。
コレ が、ナニをされているか、
彼が僕にナニをしようとしているか、
嫌で嫌で堪らないのに、腰を掴まれて最奥を穿たれた際に鼻にかかるような悲鳴が零れた。
「 ひ、 ぁ ン 」
僕自身の驚きよりも、彼の方が戸惑いの方が大きかったのかもしれない。
一拍だけ崩れた腰の動きと、僕を見下ろす両目に宿った驚愕と侮蔑と嘲笑と……
泣き叫んだのだ と、思っていた。
床に転がされてぼんやりと黒い梁を見上げる僕の耳に届いたしくしくと泣く声は、けれども僕の物ではなくて、小さな子供のように蹲った彼が立てていた音だった。
お腹の中に残る熱く鈍い痛みに体が動かず、小さく呻きながら首をそちらに向けると、項の辺りからミチ……と皮を剥ぐような音がして皮膚が攣れる感触がする。
酸素が欲しくて深く呼吸をする為に大きく息を吸い込むと、内臓が押された為か股の間から体温を移した生臭い物が溢れ出す感触がした。
僕はどうなったんだろう と、考える事が出来ない程子供ではないせいか、頭ではなくスカスカとした伽藍洞のような胸で 犯された と言葉が浮かんだ。
彼に乱暴をされたのだ と、もう一度自分自身に理解が出来るように胸中で繰り返す。
「 ぃ、た 」
腕を動かすのは酷く億劫だったけれど、首の後ろの痛み方はそれを無視させる程酷い。
喉も叫び過ぎたせいか水分がなくなって貼り付いて、上手く声が紡げなかった。けれど静まり返った蔵の中だからか、彼は僕の小さな声を聞いていたようだ。
「 っ 満足か 」
「 ぇ」
身が竦む程の鋭い眼差しに息が止まりそうだった。
その視線から逃げたくて逃げたくて、震えてうまく動かない体を引きずるようにして身を縮める。
ズキズキと首の後ろが痛み、首を動かす度に肌に貼り付いている髪がぷつりと音を出す。睨みつけられたままだったけれど、ソコが気になってそろりと指を這わせた。
「う 、血……?」
皮膚の抉れた感触と、傷口に触れてしまった痛みに飛び上がると、彼が荒々しい音を立てて立ち上がり、抵抗する間もなく僕の腕を掴み上げてきた。
体格の差は圧倒的で、小柄な僕の体はそうされると爪先が浮いてしまいそうだった。
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