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花占いのゆくえ 41
交渉の結果、下着は死守と言う事に話が落ち着いて……
「じゃあそこが見えない構図にしなくちゃ」
着替えに別室がいるのかは甚だ疑問だったけれど、「こっちを使って」と部屋を示されてしまうと使わざるを得ない。
この部屋の扉同様の愛想のない扉が開かれた途端、なんとも言えない匂いと味に思わず後ずさった。
見たところ、今いる部屋を少し小さくしてより雑多な風にしただけだけれど……
「 っ この部屋……って、なんですか 」
オレの声の低さに察したのか、ミナトは説明の言葉を探して小さく唸る。
「ここ、は。その、製作中にヒートが来たら入る部屋だよ」
「 ?」
「発情が確認されたら、ここ、噴霧剤が出るようになってるんだよね」
指差された先は天井の消火設備の隣だ。
教室などの多人数が集まる部屋に設置義務のある、抑制剤の噴霧器が見える。
「緊急抑制剤が出ちゃうと、制作意欲が削がれちゃってそのまま作品が作れなくなっちゃう子もいるんだ、だから……」
ミナトは周りを見渡してから声を潜める。
「この部屋はヒートになったって信号を漏らさないように細工されてるの」
思わずはっと息を呑む。
それは、このつかたる市ではしてはいけない重大な違反事項だ。
「他で、言わないでねっ作品が作れなくなったら本当に困るんだ」
縋るように言われて困ってしまうけれど、それじゃあ何のために市が抑制剤の設置義務を行っているのかわからなくなってしまう。
「ぴんと来ないかもだけど、ノッてる時に邪魔が入ったり、気を反らされると作品に影響出ちゃって!作品ができなくなるととっても困るんだ!」
必死のミナトの言葉に、オレは渋々頷くしかなくて……
突然発情期に入った際の巻き込まれ事故はゼロにはならないとニュースで聞いた事がある、それはタグの不具合だったり、センサーの設置の遅れている場所があったりだと思っていたけれど、こう言った人為的な物も絡んでいるんだろう。
いつ、加害者にも被害者にもなる立場の人間としては良くないことなんだろうけれど、
「 」
薫がここに来ることももうないだろうし、芸術大学なんて薫にはなんの関係もない場所だし、そう考えれば何も問題はない。
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