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花占いのゆくえ 66

「その情報をどちらから?」 「  っあの、  」 「別に犯罪性があると言う訳ではないので安心してください。ただ、バース医たちの間でも情報の混乱が見られるので、どこからの情報かを明確にしておきたいんです」  すらりと出たこの言葉を、信じていいのだろうか? 「……小さい頃、宿題で母子手帳を、見ることがあって。幼馴染の物を見ました」 「そう言えば、そう言った授業がありましたね」 「そこに書かれていた言葉は、その時は読めないし理解できなかったけど……」 「それで知ったと?」 「はい。誰かに言ったりはしてないです」  最後の言葉に医者は意外そうな顔をした。  こう言う、自分達の常識から外れて見えることは話のネタにしやすいし、からかいの理由にももってこいだ。  医者は、もうすでにそのことを周りに言いふらしているんだろうと決めつけていたようだった。 「思慮深く、賢明な判断だと思います、ありがとう」  バース医として、この情報がむやみやたらに世間に流れ出すのはいいことではないんだろう。 「別に……話して回るような内容でもないし、人のバース性をあれこれ言え なんて言う教育は受けてないから」 「うん、君みたいな子が増えて助かるよ」  あまり笑わない医師はそう言ってにこりといい笑顔を見せてくれた。  校門から聞こえてきたチャイムは、時間を考えると昼休憩の始まりのようだ。できるだけ速やかに新しいα用抑制剤を貰いに行かなくてはいけないからと言って、朝から病院に行くのは良くなかったかもしれない。  きっとまた、六華がサボったんだろう!とうるさく言ってくるに決まっている。  薫は……薫はどうだろうか?  昨日の帰り道は、オレに怯えて一言も言葉を話さなかった。  辛うじて手の傷の手当てはさせてくれたけど、薫には見られたくなかったαの威嚇を見せてしまったからか、もう昔のようには戻れないような気がしている。  怯えて、怖がって……  虎徹先生の言っていたこれが自分達の持つ力をよく考えて使え と言うことなのかもしれない。 「…………薫は?」  むっと頬を膨らまして机に凭れている六華にそう尋ねると、膨らんでる頬がますます膨らんで丸みを帯びた。

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