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Dog eat Dog 3

「ちょっとこの件は難しいかもしれないけど、テーラーメイド薬は君に頼んで間違いはないと思っているから」 「そんな  僕なんて。ただマニュアル通りにやっているだけですから」  内心が顔に出てやしないかとはらはらとしたが、瀬能先生は何事もなかったかのようにニコニコとしている。  この先生が自ら案件を持ってきて、声までかけて行くんだから普通のオーダーメイド薬じゃないんだろう。悠長な面して人にプレッシャーを掛けるだけ掛けてのんべんだらりとしているこの人のことが、オレは正直嫌いだ。  笑顔も胡散臭いし。 「最善を尽くします。それで……採取したものは?」  そう問い掛けると瀬能先生は右手に持ったランチボックス程度のサイズの鞄を持ち上げた。 「お預かりします」  恭しい態度でそれを両手で受け取り、深く頭を下げる。  バース性のトップがαだとして、その伴侶の立場であるΩが優遇されるとかそう言ったことは一切なくて……バース性の嫌な部分を煮詰めたようなΩは、やっぱり方々に頭を下げながら、嫌な思いをして生きて行くしかない。  だから、そう言ったことに囚われない無性が一番だと思う。  顎がごり と音を立て、ブニブニとした嫌な感触が歯の間でわずかに逃げる感触がした。 「い  な、  」  途切れ途切れの言葉にならない文字の羅列に腹の底から笑いがこみ上げて、項を噛んでいる歯の間から「ふ ひひ  」と声が漏れる。  抱え込んだ男の背中一面に鳥肌が立って、犯されて尚も健気に勃っていた股間はさすがに萎んで見る影もなかった。  笑ったせいか腹筋が揺れて、それに引っ張られてナカでぴゅくりと精液が出るのを感じる。  とん とん  と擦り付けるように腰を動かして、「今、出てるよ?オメガに種付けセックスされてるよ?」と意地悪く問いかけてやるけれど、男はもう聞いてはいないようだった。  尻たぶを左右に広げてやると、オレのモノとの隙間からこぽ と白濁の液体が落ちて男の肌を伝い落ちて行く。  ソレが堪らなく愉快で、また「ひひ 」と声が漏れた。  股間部分を破いたせいでダメになった網タイツを脱いで、何度履いても良さの分からないヒールの高い靴を履く、ふと顔を上げた先にある姿見に映る自分は……見方によっては乱暴された後の女性のように見なくもない。  もっとも、ずり上がってしまったタイトスカートの下から逸物がこんにちはしている段階で、ただの変態だ。  スカートを直して、皺を整えて……それから簡単に化粧を直す。そうしてしまうと昼間の姿なんてどこにもない、可愛らしいただの女が鏡に映った。

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