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落ち穂拾い的な それは所謂、紐。
休憩時間に珍しく後輩がやってきたと思ったら、にやにやとした顔で不躾にオレの首筋を指さし、相手はどんな人かと聞いてきた。
別に時宝とこの後輩が接点を持つことはないだろうし、言う義理もないんだけど……ただ、まぁ、ちょっと、自慢したかったってこともある。
「あ えっと、俳優の卵」
「えええ!じゃあカッコイイんですね!」
「カッコイ……かは、ちょっと……わかんない時もあるんだけど、でもいろいろ頑張ってて……」
「えー?どんなことをですか?」
「オーディションにいっぱい行ったりしてて」
「へー!大変じゃないんですか?」
「うん、話聞いてるだけでも大変そう。いつ本業の仕事が入るかわかんないからバイトも単発しか入れなくて、家賃払えなくてバイト先の事務所に寝泊まりしてたって」
「してたってことは?」
「今はオレの家に……一部屋余ってたから」
「あ、ルームシェアですね、家賃折半すると安上がりですもんね」
「そんなっ 部屋は遊ばせてたものだし。あいつのバイト代なんかで家賃までは払えないって!」
「えっっ と、じゃあ食費を多く入れて貰ったりとか?」
「そんな奴から食費とかもらえないだろ?それにやっぱある程度ちゃんとした物身に着けて欲しいし、自分のことに金かけて欲しいし」
「ま、あ、芸の肥やしとかって言葉もありますしね」
「ん。オレの方が稼いでるし……まぁ、家事とか一人分も二人分も変わらないから。あ、でもあいつもちゃんと食事を作ってくれてる時があって……料理とかうまいんだ、ご飯に卵かけた奴、アレ美味しいし」
「あーTKGって奴ですね」
「つ 疲れて帰るとちゃんと労ってくれるんだっ!スゴイだろ!」
「あーはい。スゴイ彼氏ですね」
無表情になった後輩の言葉にハタ……と手が止まった。
これは褒められたのか?うん、褒められたんだろう。
「ん ホント凄いんだ」
時宝が褒められたのが嬉しくて、照れてそう返すと後輩が更に無表情になった理由が良くわからなくて……
ちょっとノロケ過ぎたのかな とか、そんな気がした。
END.
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