632 / 665

お可愛いΩ お可哀想なα 45

 装備品は懐中電灯と防犯ブザーと消臭スプレー、そしてオレに吠えかかってくる番犬二匹。 「説明はちゃんとしたんだよ?」  説明してなお睨んでくるって、相当なバカ犬じゃん! 「仁も義もなんでそんななわけ⁉オレなにかした⁉」 「別に……」 「何も……」  反抗期の子供かって言いたくなるような態度に溜め息しか出ないけど、とりあえずオレは先生に言われた見回りに行かないといけない。  オレはともかくこの三人がここに居る理由って言うのが、 「なんでカレーが逃走すんだよ」  この一件の罰らしい。  どう言うことなのか事件を見ていた子にそれとなーく話を聞いてみたけれど、怖がって話をしてくれなくて結局真相は闇の中だ。  この三人に聞いても要領を得た話が聞けるとも思わないしね。 「不思議だよねー」 「不思議なことってあるねー」 「そうだよねー」  なんて言い合ってるけど、ホント何があったのさ? 「見回りって言っても、建物の周りぐるっと見て回るだけだろ?ささっとやっちまおう!」 「「おー!」」  なんだかんだ……うん、この二人も元通り?なのかな?  とは言え、まず優先するべきは先生に頼まれた見回りで……昨日のこともあるし、一人なら怖かっただろうけどこの三人もいるし余裕かなぁ。  この三人が肝試ししよーとか言ってグリーンベルトの方にフラフラいかなければの話だけどさ。 「じゃあ、やったふりして肝試しいこー!」 「いこー!」 「いくー!」  人の話聞いてた? 「ダメだよ!まず見回らなきゃ!そしたらもう消灯の時間になるだろうから部屋に戻んなきゃだし、ね?」  慌てて止めて、「あっ」ってなる。  きっとオレのこう言うところがいい顔してって言われるとろこなんだろうな……って。  でも、言われたことをやらないのも、駄目って言われてることをやってしまうのも、オレは怖い。  それで、呆れられたりとかしたら、だいぶ傷つく……でも、空気読まないねって結局呆れられたりすることもあるから、ジレンマになっちゃうんだけどね。 「あの……えっと……怖いから、また昼間一緒に行こう?」  だから自分なりの折衷案を提案してみたんだけど……  三人はきょときょとと顔を見合わせて、クシャクシャっと笑った。 「んじゃあまた計画建てよう!」 「この間みたいに昼に行くならお弁当も」 「そうだな!」

ともだちにシェアしよう!