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まだ大輝のものじゃないなら襲ってもいいね? 3
───投げとばす……
それは、うまい具合に。
こいつ、背は高いけど細くて重くはなかったからね。
それに、僕を甘くみてたから油断してたんだろうと思う。だから、ガードもなにもあったもんじゃないから上手く行ったんだ。
カウンターみたいなもの。
でも、これ一回だけだ。相手が油断していたからその隙に出来たようなもの。
本当に久々だったし。
次に来たらだめだ。
"逃げなきゃ"
やつがぶったおれてる間に、急いで準備室を出る。飛び出した拍子に誰かにぶつかった。
「ユウ?」
聞き覚えのある声だ。
「大輝?」
大輝がいた。大輝の顔をみたとたん安心して、そのまま倒れこんでしまった。
「ユウ?!何ごと?」
大輝は僕を抱きとめる。
普段なら絶対に恥ずかしい、だけど、今は、そのままで、大輝にこのまま抱き留められたままでいて欲しいと思った。
「どうしたんだ?」
大輝はもう一度聞いた。
「2年の杉浦に呼び出されて、それで……」
大輝は何か察したようだった。
「まさか……何かされたのか?」
「襲って来た………」
その言葉を聞くか聞かないかのうちに、大輝は怒りながら体育準備室へ行こうとした。
「あそこにあいつがまだ、居るのか!?」
だから思わず大きな声で大輝に言う。
「…でも、大丈夫だから!!」
「……え?」
動きが止まる大輝。
「あいつ、ぶん投げたし」
「……投げた??」
「うん」
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