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第11話 前世の愛、今世の恋(1/2)【輝】

 がっついちゃダメだ。怖がらせないように優しくしなきゃ。一番大事なのは心だ。    (はや)る心を(なだ)めるように、(あきら)は自分に言い聞かせた。  性急にセックスの前戯を始めるのではなく、キスの合間ごとに目を見つめながら、優しく唇を啄んだ。そして、賢太郎(けんたろう)を安心させようと、性的な意図を込めず、服の上から彼の肩や腕を撫でた。  賢太郎は少し表情を緩め、甘えるように再び輝の首に手を回し、キスを返し始めた。のみならず、彼のほうから、輝の頬や鼻に小さく音を立ててキスしてくれた。  輝の胸は、きゅんとした。自分からも賢太郎の瞼や額にキスをした。瞼にキスした後、賢太郎は、ゆっくりと瞳を開き、少し照れたように微笑んだ。  唇だけでなく顔中にキスしたくなるほど、誰かを好きになったのは、前回は、いつだったろうか。ぱっと思い出せないくらい、久し振りのことだった。賢太郎も同じ気持ちでいてくれることも、嬉しかった。輝も自然と微笑んでいた。    賢太郎が、その指先で、輝の耳の輪郭をなぞった。彼から与えられた、初めての意図的な愛撫だった。輝は眉を顰め、溜息を洩らした。輝は、お返しのように、唇で賢太郎の耳の輪郭に触れた。賢太郎も甘い溜息を零した。 「ねえ、次は……? どこをどうしたら良い?」  輝が少し欲情を滲ませた色っぽい声で囁きかけると、 「聞かないで。恥ずかしいから」  賢太郎は、くすくす恥ずかしそうに笑った。 「俺、ホントに賢太郎に嫌われたくないんだ。でも、喜んでほしいし、気持ち良くしてあげたい。だから、どうしたら良いか教えてよ」  輝が拗ねるように言うと、賢太郎の表情が艶っぽくなり、甘えた声で囁いた。 「輝さんが、探して。どこを、どうしたら、僕が気持ち良くなるか」 「……すごい小悪魔発言……。いや、俺の愛情が問われてるんだって思うことにするよ」  輝は、賢太郎の心と身体の扉が、自分に向かって少し開いたと感じ、萌え滾った。  仰向けに横たわっていた彼を抱き起こし、輝は、自分のセーターを脱ぎ捨てると、賢太郎のTシャツの裾に手をかけ、上に引っ張って脱がせた。賢太郎は、両腕を交差させて自分の上半身を恥ずかしそうに隠した。  輝は、背後から賢太郎をそっと抱き締め、その肩や首筋に小さく何度もキスを落とした。 「すごく綺麗だ。それに、恥ずかしがるところが、すごく可愛い」  唇と指をゆっくり背中に這わせた。賢太郎は肌を粟立たせ、甘い溜息を零した。輝は、自分の体温で彼を安心させようと、その細い背中に自分の胸をくっ付け、二の腕を上下にさすった。 「あったかい」  賢太郎は甘えたような声で囁き、輝の手を取って、掌を自分の頬に押し付けた。 「輝さんが好き」  輝は、心の中の柔らかく繊細な部分に優しく触れられたような気がして、息を呑んだ。 「俺も。賢太郎が好きだよ」  首筋や耳に、優しく食むようなキスを落としながら、胸の突起に触れると、そこは固くなっていた。指先で、少し強く摘まむと、賢太郎は、小さい喘ぎ声を漏らした。指先で上下左右に擦り、その周辺に円を書くように優しく撫でると、「んんっ……」と、少し鼻にかかった声をあげた。  脇から腰まで、身体の両サイドを、指先だけでなく掌も使って上下に撫で擦ると、色っぽく喘ぐ。 「賢太郎、すごく可愛くて色っぽい」  輝は、息を吹きかけるように耳元に囁きながら、腰骨を撫でた。賢太郎は、更に悩ましい声をあげながら振り返り、身体を摺り寄せ、輝の後頭部に腕を回してホールドしながら、官能的なキスをした。賢太郎の舌が、輝の口内を生き物のように動き回った。  輝も、堪らず、舌を絡めとるようなキスを返した。  腰骨から、そのままスウェットパンツに手を滑り込ませると、賢太郎の身体は既に反応していた。優しく撫でてから、下着の中に侵入し、素肌の賢太郎自身に触れた。輝に触れられ、一瞬、ぴくりと身を竦ませた彼の中心は、輝の大きな手で包み込まれ、優しく扱かれると、あっという間に張り詰め、先端からはしとどに蜜を滲ませた。 「賢太郎、好きだよ。反応してくれて、すごく嬉しい。もっと感じて欲しい。服、全部脱がない……? 俺も脱ぐし」  輝は、賢太郎を見つめながら優しく言った。  賢太郎は、一瞬眉を下げ、困ったように唇を噛み締めたが、上目遣いに輝を見つめ返し、頷いた。ベッドから立ち上がると、輝に背を向け、するっと下半身の着衣を落とした。ほっそりとした、少年のような後姿に、輝は、思わず、ゴクリと生唾を飲み込んだ。禁忌(タブー)を破ろうとしているかのような、いけない感じがした。 「電気、消して良い?」  賢太郎が、輝に背を向けたまま聞いた。 「俺は、どっちでも。賢太郎が落ち着くほうで良いよ」  輝は答えた後、我に返って、慌てて自分の靴下を脱ぎ、ベルトを外し、パンツと下着を一気に下ろして裸になった。  明かりが消されると、輝は賢太郎の肩に手を掛け、自分のほうを向かせ、もう一度、優しく抱きしめた。裸の背中を、掌で大きく撫で下ろした。  少し身体を離して、もう一度彼を見つめると、夢見るように潤んだ瞳が輝を見上げていた。  優しく手を引いて賢太郎をベッドに座らせ、輝は、その足元に跪いた。両方の膝頭にキスをしてから、膝を掴んで、開かせた。そして、勢い良く立ち上がっていた賢太郎の中心に口を付けた。  本当はもっとゆっくり愛撫してあげたかったが、輝も昂っていた。少し強く吸い上げると、口の中でドクドクと脈動を強め、更に張り詰め、賢太郎の表情が蕩けた。 「んっ……、はぁあっ……」  舌で、溝や皺に沿って敏感な先端をあやしながら、根本を手で握って上下に扱く。輝の唾液で濡れているからか、手が滑らかに動き、賢太郎は内腿をわなわなと震わせ、高く掠れた声で喘いだ。 「あ、あ、あ。……ま、まって」 「イキそう? 良いよ、イッて」  輝は、一度口を離し、先走りを茎に擦り付け、更にぬめらせて、勢いをつけて扱いた。 「ん、ん、あっ、も、イク」  賢太郎は、背中を仰け反らせて、何度も白濁を吐き出した。ぴくぴくと、精を吐くタイミングと同時に、身体を震わせた。

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