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第12話 前世の愛、今世の恋(2/2)【輝】

  賢太郎(けんたろう)(あきら)の手淫で精を吐く、そのエロティックな眺めに(たぎ)りながら、輝は、溢れた白濁を、賢太郎の後ろの窪みへと撫で付け、その身体をコロンとうつ伏せにベッドに寝かせた。 「お尻だけ上に持ち上げてくれる……?」  輝が言うと、賢太郎は素直に従い、その細い腰を、上に突き出すように持ち上げた。  蕾の周辺を、マッサージするように撫で、押していく。 「なんか、不思議な感じ。気持ち悪くはないけど、擽ったいような」  賢太郎は呑気そうな声で言った。 「ふふ。ここ、筋肉だからさ。しかも、元々、そんなに太いモノ通すこと想定してない場所じゃん? だから、マッサージして、解すんだよ」  賢太郎が落ち着いて自分の愛撫を受け入れてくれていることに、輝は、顔が綻ぶのを止められなかった。  賢太郎がリラックスしているからか、一本目の指は、すんなり受け入れられた。 「どう? 痛くない?」  輝は、賢太郎の負担を気遣った。 「うん、痛くはない」  賢太郎は、相変わらず落ち着いている。 「じゃあ、少しだけ指を動かしてみるね。痛かったらすぐ教えて」  輝は、指をゆっくり、少しだけ抜き差ししたり、内壁を優しく撫でるように押した。賢太郎の良いところを探した。  同時に、再び兆し始めていた彼の茎を、緩く掌と指で包んで扱くと、賢太郎は、甘い声を上げた。肉壁のお腹側を押すと、少し他と感触が違う場所がある。そこを、少しだけ強めに撫でると、賢太郎は身体を跳ねさせ、喘ぎ声を上げた。 「ひゃああっ……! ……なんか、いま、すごかった」  茎も、再び、お腹にくっ付きそうな勢いで鎌首をもたげている。  一度指を抜き、綻んできた蕾に舌を這わせると、賢太郎は少し高く掠れた色っぽい喘ぎ声を漏らした。尖らせた舌でノックすると、恐る恐るといった風情で、そこは緩んだ。  もう一度、指を一本だけ挿れ、良いところをあやしながら、入り口を少し広げるように動かすと、更なる刺激を求めるように、そこは口を開けて、輝を誘う。 「もう一本、挿れるね」  優しく腰をさすってリラックスさせながら、二本目の指を挿れた。肉壁の快感を知りつつある貪欲な蕾は、難なく二本目の指も飲み込んだ。  更に刺激を少し強める。抜き差しの幅を広げ、より奥を突き、良いところには、指を軽く曲げて、擦り上げるように触れると、賢太郎は、脚をわなわなと震わせ、断続的に喘ぎ声を上げ続けるようになっていた。肌も、汗ばみ始めたのか、しっとりしている。  輝は、全く男性経験が無いと言っていた賢太郎の反応があまりに良いので、驚いていた。 「もう少し行けそうだから、もう一本、指、挿れるね」  輝は経験的に、この感じなら、最後までいけそうだと直感していた。 「ふ、う、ん、んんっ……、あっ。ああ……」  三本の指を咥え、その身を快感に捩らせている賢太郎の姿は、ひどく蠱惑的だった。 「すごいよ……、賢太郎。ものすごく淫らで、色っぽくて、魅力的だ」  輝は、興奮で声を上擦らせた。 「ねえ、これなら、輝さんの、入る?」  賢太郎は、輝の内心を読んだかのように、喘ぎながら囁いた。 「多分ね……。でも、もし痛かったら、ホントに遠慮しないで、すぐ言って。すごく、デリケートなところだから。俺に悪いんじゃないかとか、気ぃ遣わなくて良いからね」  輝は念を押しながら、固く決意していた。 (俺も、自分勝手に腰振ったりしないで、よく注意しなきゃ。賢太郎は初めてなんだから)  先ほどからの賢太郎の痴態に、目と耳から刺激された輝自身は、興奮して空を仰ぎ、空腹に耐えかね涎を垂らしていた。  既に滾っている自身を、賢太郎の後ろの窪みにあてがうと、双丘の割れ目に沿って上下させ、先端をそうっと押し込んだ。指とは異なる太さや感触に驚いたのか、賢太郎の呼吸が、少し浅くなった。 「大丈夫、ちゃんと入ったよ。でも、急にガンガン突いたりしないから、安心して」  輝は優しく話し掛け、賢太郎の背中を撫でた。 「ん……。ちょっとびっくりしちゃった。思ってたより、ツルッと入ったから。でも、やっぱり大きいから違和感がすごい」  賢太郎の口調は落ち着いていた。 「俺もびっくりした。こんなにスムーズに、賢太郎が、俺を受け入れてくれるなんて、思ってなかったから。すごく感動してる」  輝が正直に言うと、 「そうなの……? 前世の夢では、いつも激しく愛し合ってるからさ。これがスムーズなのかとか、僕、よく分かんなくて」  賢太郎は、何気に過激な発言で、輝をどぎまぎさせた。 「確かに、夢で見た輝宗と賢佑は、すごかったな(笑) ……変なこと聞いて良い? 賢太郎はさ、前世で二人が抱き合ってる夢を思い出して、自分でしたことある?」 「……この状況で、それ、聞く?  ……あるよ。だって、夢なのに、すごく気持ち良いんだもん」  賢太郎は、前世の二人のエロティックな抱擁を思い出し、少し呼吸が乱れだした。そうっと前に手を回すと、賢太郎は、また勃ちあがっていた。  前世の抱擁を思い出させて賢太郎を興奮させる作戦がうまく行ったのを見て取り、輝は賢太郎の良いところまで、腰を押し進め、そこで、小さく前後に律動した。 「ああっ……」  賢太郎は、甘ったるい喘ぎ声を上げ、シーツをきゅっと両手で掴んだ。その肌が、火照って熱くなり、汗でしっとりと湿ってきた。  あまり長時間に及ぶのも、初めての賢太郎には負担が大きいだろう。輝は、早く彼を絶頂に導こうと、良いところを細かく突きながら、再び雫を零して濡れた彼の前を扱いた。 「やっ、あ、あ、ああっ……!」  賢太郎は、身体を震わせ、切なげな声をあげて達した。賢太郎の声や身体の反応が、快感しか訴えていないことに安心し満足した輝も、収縮を繰り返す賢太郎の中に、その熱情を迸らせた。  汗と愛液でドロドロになった賢太郎を抱え起こし、二人でシャワーを浴びた後、疲れ果ててくったりしている彼をベッドに横たえた。輝は、蕩けた表情で自分に全てを委ねている賢太郎を愛おしく思い、その額に小さくキスを落とし、彼の隣に横たわった。 「なに、考えてるの?」  眠っているかと思った賢太郎が、気だるげに輝に聞いた。 「前世の俺が、君に『生まれ変わったら、俺を探してくれ』と強く言い残した理由について、考えてた」  輝が答えると、半目だった賢太郎が、ぱっちりと目を開いた。 「多分だけどね。前世の俺は、自信があったんだと思う。  生まれ変わった時、もし俺に前世の記憶がなくても、君に出会いさえすれば、きっと俺は、もう一度君に恋をするって。  だから、二人が会えるように、君は俺のことを覚えていて探してほしい、って思ったんじゃないかな」  輝は、賢太郎の髪を愛おしそうに撫でながら言った。賢太郎は、無邪気な黒く濡れた瞳で輝を見つめた。 「俺、前世の夢、結局一度しか見てないからさ。それも、賢太郎と会って、『僕らは前世で恋人同士だった』と言われて、疑った日の夜だけだからね。ご先祖様が『この話は嘘じゃないぞ』って、教えてくれたんじゃないかな。  結局、前世のことは殆ど知らないままだけど、俺は、今世の君を好きになった」  賢太郎が涙を零し始め、輝は慌てた。 「ちょ、賢太郎?! 俺、なんか悪いこと言った?」 「……嬉しくて。僕は前世のことを信じてるけど、前世の縁だけで輝さんに好かれるのは嫌って言うか……。今の僕をちゃんと好きになってほしいって、最近、だんだん欲張りになってきて、苦しかったんだ」 「……そんな可愛いこと言って。俺を萌え死にさせる気か」  輝は、わざと冗談ぽく言って、賢太郎を抱き寄せ、その涙を唇で優しく拭った。  二人は、手足を絡め合ってひしと抱き合い、何者にも引き離されない幸せを噛み締めながら、眠りについた。

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