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デート_5
言わねーの?と疑問を投げてくる陽翔に、僕は首を振った。
「言わない」
「何だよ、人の背中は押しといて。言えばいいのに…」
「僕は言えないよ。だって……僕は陽翔みたいに綺麗じゃないもん。汚い」
身体に残る痕だけじゃない。
言われるまま開いてきた身体で受け入れた人数は、多分片手じゃ足りない。
「……んなことないだろ。俺は郁弥の親友だから、よーく分かる。郁弥は汚くなんてないし、長谷さんだってきっと――」
「――僕だって、何?」
陽翔の言葉を遮ったのはチケットを手にしながら、ニコニコと僕らの前に立った長谷さん。
隣には当然藍澤さんも居る。
「お待たせ。はい、チケット」
僕は長谷さんから、陽翔は藍澤さんから一枚ずつチケットを手渡された。
「ありがとうございます。あの、お金…」
「ああ、いいよいいよ」
「いえ、そんな訳には…」
「じゃあ後で美味しいものでも奢ってよ。ね?」
どうやら陽翔もそれで手を打ったらしいので、僕も渋々頷くしかない。
食べ物だけじゃ絶対賄えないのにな……。
「で、僕が何だって?」
「何でもないです。さあ、行きましょう!」
煮え切らない様子の背中を押して、パークの入口へと足を向ける。
何か言いたげな陽翔と目が合ったけれど、小さく首を振った僕に、口を噤んでくれた。
「えー、気になるなぁ」
「まあまあ、良いじゃないですか。あ、僕、迷路の前にあれ乗りたいです!」
「フリーフォール?絶叫系好きなの?」
「はい!大好きです!」
「へえ、何か意外だね」
長谷さんは笑ってそう言うけど、僕としては何が意外だったのかさっぱり分からない。
「陽翔くんも平気?」
「うん、めちゃくちゃ好き!」
「じゃあ皆で乗ろっか」
……陽翔には意外って言わないんだ。
確かに好きそうではあるけど……僕って長谷さんの中でどんなイメージなんだろうなぁ。
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