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デート_6

思った程人が並んでいなく、すぐに乗車出来たそれに僕も陽翔も長谷さんも大満足だった。 景色も良かったし、結構な高さからの急落下は堪らなく気持ちが良かった。 のだけど………。 「おーい、大丈夫か?」 「…………うるさい」 ベンチで反りながら空仰ぐ藍澤さんは、どうやら絶叫系が…と言うか落下系が苦手だったみたい。 藍澤さんの隣に座る陽翔はそれはそれは楽しそうに笑っている。 「苦手ならそう言えば良かったじゃん」 「………乗ったことなかったんだよ」 「マジ?逆に貴重だな。仕方ないな、飲み物買ってきてやるよ。何がいい?」 「……珈琲」 「りょーかい」 売店に向かおうとする陽翔の背中を呼び止めて、僕も一緒に行く事を提案した。 「長谷さんは何がいいですか?」 「じゃあ緑茶、お願いしようかな」 「分かりました。行こ、陽翔」 ちょうど昼時だからか売店はなかなかの人で賑わっていた。 売店に並んでる間も陽翔は楽しそうに笑う。 「あの司の顔、めちゃくちゃ面白かったな」 「そんなに笑ったら可哀想だよ。本当に辛そうだったし…」 「まあね。でもやっぱ面白い。普段表情崩さない分尚更……今度ムカつくことあったらフリーフォール乗せよ」 意気込む陽翔を横目に僕は売店に掲げられたメニューの看板を見る。 緑茶、緑茶……あ、良かった。ちゃんとある。 「司は珈琲だろ、俺は……コーラにしよ。郁弥は?」 あ、ロイヤルミルクティーあるんだ……美味しそう。 …………でも。 「……僕は、僕も緑茶かな」 「長谷さんと一緒じゃん、いいの?別の頼んどいた方が二倍楽しめんじゃね?一口貰うとかさ」 「ううん、いいんだ」 もったいねー、と不満げな陽翔には曖昧に笑って返す。 相手と同じものを頼まなければならない、そんな癖が僕には根付いていた。 もし相手が物足りないと感じたら、すぐに僕のものを分け与えられるように。 だから僕が選ぶのは、僕が食べたい、飲みたいものじゃダメなんだ。

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