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デート_7
飲み物を両手に抱えて、二人が待つベンチへと戻る。
陽翔はソフトクリームを買うか悩んでいたけど、結局持ちきれないからと諦めた。
「後で司に買わせよう」
なんて言いながら。
「お待たせー!ほら、珈琲。ちゃんと砂糖もミルクも無しだぜ」
「ああ………お前に珈琲の好み言ったことあったか?」
「ん?ないけど、一緒に居りゃ分かんじゃん?」
「………そう言うもんか」
「そう言うもんだよ」
「陽翔は…………コーラか」
「え!?何で分かったの!?」
「お前の行動パターンなんてお見通しだ」
「そう言うもん?」
「そう言うもんだ」
二人の会話は聞いていて擽ったい。
いいな。心を通わせてるって感じがする。
「長谷さんもどうぞ。緑茶です」
「ありがとう。うん……………僕も君の飲み物当ててみようかな」
「え………」
「うーん………ミルクティー、かな?」
あ、当たりだ。でも………ハズレ。
「えっと、残念ながら僕も緑茶です」
「………僕と同じ?」
「…はい」
僕を見下ろす目が急に冷たくなって、顔から笑みが消えていく。
な、何だろう…僕何かしたかな?それともハズレたのがそんなに気に入らなかったとか……?
でもそんな事で機嫌悪くなるような人じゃない、はず……。
「あの……」
おずおずと話し掛けた僕に、長谷さんは笑顔を取り戻して「嘘つき」と小さく呟いた。
「え………あ、ちょっ、長谷さん!?」
僕が呆然と見上げている隙に、長谷さんが僕の手から飲み物を奪い去っていって止める間もなく中身を飲み干していく。
「え、それ、僕の………」
長谷さんの分はさっき渡したから、ちゃんと左手に握られてるのに、彼が飲んでるのは僕の緑茶……。
喉仏が一際大きく上下して、長谷さんは一息つく。
どうやら僕の緑茶は完全に飲干されてしまったらしい。
「ふーぅ、流石に一気に全部飲むとお腹ちゃぷちゃぷだね」
「あ、あの……」
「郁弥くんの分、無くなっちゃった」
ぐしゃっと潰された紙コップがわざわざ言わずともそれを物語っている。
「だからもう一回買いに行こう。今度は君が飲みたい物を」
「……………」
「って事だから、藍澤くんと陽翔くんちょっと待っててね」
何で………。
「ん、いってらー」
どうして………。
「行こう、郁弥くん」
気付かれてしまうんだろう……。
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