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デート_8
繋がれた手は優しいのに力強い。
僕よりも大きくて、少し体温の低い手。
ずっと繋いでたい。けど、それでなくても長谷さん目立つし、こんな男と手なんて繋いでたらいい的だよね…。
「あの、手……」
「ああ、ごめんね。嫌だった?」
「嫌とかじゃないんですけど…やっぱ変かなって」
「郁弥くんはそう言う周りの目が気になる?」
「僕は全然…でも長谷さんが好奇の目で見られるのは嫌です」
そっか、と笑った長谷さんは手を離してくれるどころか、更に指を絡めて絶対に離さないと言わんばかりに握り返してくる。
「それなら、このままね」
「え、でも…」
「大事なのは周りじゃない。君がどう思うかだけだよ」
僕がどう思うか、だけ……。
「ところで、本当は何が飲みたかったの?」
僕らの足取りはさっきと同じ売店の前で止まる。
「本当は………」
「うん」
「本当は……………ロイヤルミルクティーが飲みたかったです」
「はは、じゃあ僕も当たりだったね」
「………どうして、分かったんですか?」
僕の問いに長谷さんは悪戯っ子のような顔を見せる。
あ、僕この顔好きなんだよなぁ……。
「あの二人も言ってたでしょ。一緒に居れば分かるってさ」
「…そう言うものですか?」
「そう言うものらしいよ」
それなら僕にも分かるのかな……。
「長谷さんは、和食が好きです」
「……うん。」
「珈琲よりも紅茶派で、それよりも緑茶が好きです」
「正解」
「甘いものは好きだって言ってましたが、チョコレートだけは苦手ですよね?」
「はは、バレてたか。恥ずかしいな」
ああ、本当だ。
「……そう言うものなんですね」
「みたいだね」
僕らも少しは、歩み寄れてるのかな………。
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