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デート_10
「遅い!しかも手なんて繋いでヤラシイ!!」
戻った僕達にビシッと突き立てられる陽翔の人差し指。
慌てて離そうとした手を長谷さんは更に強く握り直して、陽翔と藍澤さんに見せびらかす様に上へと持ち上げた。
「ははは、嫌だなー。ただ手を繋いだだけでヤラシイなんて。羨ましいなら二人も繋いで歩けばいいんじゃない?」
「やめろ、余計なこと言うな」
頭を抱える藍澤さんと、ほんの少し目を輝かせる陽翔。
「……そんな目でこっち見るな。絶対嫌だからな」
「そんな拒否んなくても良くね?仮にも恋人なんですけど?それとも俺なんかじゃ不満だって?」
「はぁ……違う。そうじゃない」
「じゃあ何だってんだよ?」
何だか雲行きが怪しいような………。
「は、長谷さん……止めた方がいいんじゃ…」
「んー、まあ良いんじゃない?」
「長谷さん…………」
めちゃくちゃ楽しんでる…………。
と言うか。
「あのそろそろ手離してください……」
「うーん、やだ。このまま迷路行こう」
「え!?」
「一緒にゴールしてくれるって言ったよ?」
「それは言いましたけど、何も手を繋いだままじゃなくても…」
「こうしておけば確実でしょ?それに…」
「?」
「僕が繋いでいたいから。離したくないんだ。ごめんね、我儘で」
………ずるい人だ、本当に。
「じゃあ、迷路並びに行こっか」
「え、でもまだ二人が……」
依然として睨み合ったままの二人を置き去りに、長谷さんは歩き始める。
「大丈夫、大丈夫。先に行って待ってよう」
「本当に大丈夫でしょうか……?」
「大丈夫だよ。どうせ結果は分かり切ってるし」
「?」
「ああ言うのは、より惚れてる方が負けちゃうからね」
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