僕の、恋人……に………。 「長谷さんが…僕の……？」 「そう。郁弥くんの特別になりたいんだ。だからお願い、ダメなんて言わないで」 「けど…けど僕は、今まで沢山のαに抱かれてきました。片手じゃ数え切れない程この身体を開いてきて…」 「うん」 「だから、だから僕じゃダメなんです…。こんな汚い身体じゃ……」 嫌々と首を振る僕に、長谷さんはまた悲しそうな目をする。 思えば今日はこの目を見ることが多かった。 「………僕は君が好きだけど、本音を言ってくれない君は嫌い」 「……………」 「君はいつも他人を優先する。自分の気持ちなんて二の次で。そんな君を見てると僕はとても悲しくなる」 「……………」 「建前なんていらない。僕が知りたいのは君の本当の気持ちだけだよ。言ったでしょ？郁弥くんの声は僕が聞くって」 長谷さんが僕の肩口に顔を埋めて、これでもかと身体を抱き締められる。 「聞かせて、君の声で、君の気持ちを」 「……長谷さん…………――〜〜っ、ぼく……、僕は……めなさぃ……ごめんなさい……っ……す、き……好きです……長谷さんが、好き、なんです…」 「うん。僕はね、大好きだよ」 「…っ…僕も、僕も…大好き…で、す……」 「ふふ、嬉しいなぁ」 優しくて心地よくて、本当に嬉しそうな声音に堪えていた涙が頬を伝った。 「うっ……、めなさ……ぃ……ごめん、なさ……い…………」 「悪いことしてないのに謝らない。そういうこと言うとまたキスしちゃうよ？」 身体を離して僕の大好きな悪戯っ子のような笑みを見せてくれる。 すき………好きだ……大好き………っ。 「…っ……いいですよ」 「ん？」 「キス、しても………」 「……いいの？」 「……して欲しい……し、したいんです…っ」 甘え方なんて分からないから、これが僕の精一杯。 もっと、もっと伝わってほしくて驚いた表情(かお)をした長谷さんの首に腕を回してぐっと顔を近付けた。 「――して、ください……っ」